東大入試でも問われる
人が話していることや、目の前にある文章を、別の表現に置き換える作業のことを、ここでは「言い換え力」と呼びたいと思います。
「言い換え力」は、物事を理解できているかどうかを判断する重要な指標です。
相手の話を言い換えられるということは、その話を自分のものにできているということ。すなわち理解できているということです。
『「東大国語」入試問題で鍛える! 齋藤孝の読むチカラ』(宝島社)という、東大の国語の入試問題だけの解説をする本を書いたことがあります。
東大の国語の問題というのは、例文のどこかに傍線が引いてあり、それをわかりやすく説明させるというものがほとんどです。
これはまさしく、「言い換え力」を求めるもので、文章の意味が理解できているかどうかを試しているわけです。
「自分の言葉で話す」は「思いついたことを言う」ではない
面接官などが「これを自分の言葉で表現してみてください」と言ってきたとしたら、それはあなたがその概念をきちんと理解できているかをたしかめているのです。
たまに「自分の言葉で」と言われて、思いついたことだけを話してしまう人もいますが、言い換えとは、もとの言葉や文章を「ニアリーイコール(≒)」すなわち「おおよそ同じ」といえる表現に置き換えるという作業です。
そこを誤解しないようにしましょう。
言い換え力を磨くには、たとえばお題となる文章を読み、その文章からキーワードを3つほど拾い出し、その3つを使って自分の文章で書き換えてみる練習をしてみましょう。
選んだワードをつなぐには文脈力が求められますし、何よりワードを選ぶ理解力が必要です。つまり、言い換え上手な人は語彙力もある人なのです。