「活字>ユーチューブ」と決めつけてはいけない

「人の話は素直に聞きましょう」などと言われたら、「何を当たり前のことを」と思うのではないでしょうか。

しかし、人は先入観で生きています。これまでの体験がその人の思想や偏見となり、その枠から外れて考えることは難しいのです。

「こうであるはずだ」と決めつけてしまい、趣旨を取り違え、場合によっては解釈が正反対になってしまうこともあります。

活字世代を生きてきた人が、「ユーチューブ」と聞いた瞬間に嫌悪感を抱き、脊髄反射で「ネットの世界なんて」と否定してしまうのは、正しい選択とはいえません。

素直に話を聞ける人は、ネットを偏見でくくらず、ユーチューブの何がおもしろいのか、どんなことができるのかなど、知識を前向きに吸収するのです。

YouTubeのロゴのiPad画面
写真=iStock.com/ozgurdonmaz
「活字>ユーチューブ」と決めつけてはいけない(※写真はイメージです)

相手の話は心を空っぽにして聞く

経営の神様・松下幸之助氏は、「素直の初段」という言葉を著書に記しました。

すなわち、素直な心でものを見れば本当の姿がわかるが、とらわれた心で見ると白も黒く見えてしまう、虚心坦懐きょしんたんかいに見る心を養えば、人はようやく素直の初段に到達するというのです。

現象学を提唱した哲学者のエトムント・フッサールも、人は偏見や「先入見」に汚染されている生き物で、それらを取り除く訓練(エポケー)の必要性を説いています。

多様性が重視される今こそ、相手の話は心を空っぽにして聞くことが大切です。