無酸素でも有酸素でもOK

どんな種類の運動をするかではなく、運動すること自体が大切なわけです。パニック発作を起こす人は発作の頻度が減り、発作の激しさも和らぎました。

社交恐怖症(人に会ったり話したりするのが怖い)の人は人と会うことが前ほどは恐ろしくなくなりました。PTSDの人はフラッシュバックや恐怖感が減りました。

ただ、全員が運動で大きな効果を得られるわけではなく、素晴らしい効果を得られる人もいれば、それほど変わらない人もいました。

しかし、平均的には良い結果が出ています。それでも、やはり心拍数の上がる運動の方が良いのでしょうか。特に重い不安やパニック発作にはその方が効果があるようです。

すでに説明した通り、パニック発作というのは心拍数が上がったり息が上がったりした状態を脳が「危険にさらされている」と誤解し、負のサイクルに陥った結果パニックがひどくなるというものです。

暗い建物の廊下に座ってうつむく女性
写真=iStock.com/xijian
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しかし身体を鍛えると、「心拍数が上昇するのは身体に良いことだ」と脳に学ばせて負のサイクルから脱することができます。

なお、最初は慎重に始め、心拍数が上がったせいで発作を起こさないように気をつけてください。運動に慣れていない人は少しずつ、ゆっくりトレーニングを増やしていくと良いでしょう。

うつへの絶大な効果

うつの人を「外に出て走ろう」と誘い出すのは簡単なことではありません。うつだと独りで家でじっとしていたいものです。それでも運動させることが出来れば、ここでも良い効果があります。何よりも、運動はうつにならないための防御になります。

イギリスで行われた調査では、被験者が週に1時間でも身体を動かしていればうつの約12%を防げたとしています。わずかな運動でかなりの効果があるのです。なお、この結果は子供や若者にも当てはまるようです。

歩数計を使って12歳から16歳までの約4000人を調査したところ、運動時間が週に1時間からさらに1時間増えるごとに、18歳になった時のうつ症状の度合いが10%ずつ下がることがわかりました。