個人や組織のビジョンを可視化するにはどうすればいいか。電通コンセプターの吉田将英さんは「コンセプトデザインを手がけるとき、仕事や業界にムカついていることがしばしばブレイクスルーにつながる。あるアパレル企業では、経営者が抱いた業界への違和感から会社のビジョンが生まれた」という――。

※本稿は、吉田将英『コンセプト・センス 正解のない時代の答えのつくりかた』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。

男性のカジュアルコーデ
写真=iStock.com/Tatomm
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「若者ファッションの代表格」からアップデートするために

2019年、創業25周年を迎えた株式会社ウィゴー。新社長に就任された園田恭輔社長からのご相談でプロジェクトは始まりました。

ウィゴーを、ファッションの会社にとどまらない、カルチャーやライフスタイルも含んだ会社にアップデートしていきたい。

当初、そんなご依頼の内容だったと記憶しています。

1994年に大阪でたった3坪の古着屋からスタートして、若者ファッションの代表格にまで成長したウィゴーが、これからどこに向かうべきなのか? 「ここではないどこか」とはどういう状態を目指すことなのか? コンセプトデザインがスタートしました。

まず行なったのは、社長の園田さんとの徹底ディスカッションです。

コンセプトを使う「われわれ」であるウィゴー側からは園田さんをはじめとした経営幹部の皆さん数名。それに対して、客観的な視点でバイアスとインサイトのジレンマを探す伴走役として、僕と、コピーライターの魚返洋平さんをメインとしたチームでお相手をします。

園田さんの中には「何となくこのようにしたいけれど、まだうまく言語化はできていない何か」があるように感じていた僕は、主に彼の中にある「まだつかめていないビジョン」を探るモードで対話を重ねました。