「恵まれていると感じること」5つを書きだす

参加者に目的を知らせずに感謝の気持ちを表現してもらい、その結果を記録するという、実験的な研究がいくつか行なわれています。その研究では、まず参加者のうちの1つのグループには「感謝しているもの」、つまり「恵まれていると感じること」を5つ書きだしてもらいます。それから、その後10週間にわたって、週に一度同じことをしてもらうのです。ほかのグループにはそのような行動をとらない、対照グループになってもらいます。彼らは毎週、感謝するものを探す代わりに、「その日に起こった面倒な問題や出来事」を5つ考えるように指示されます。

黒の素朴なセメントボードに5つの星
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人生により満足感をもてるようになった

この研究結果は、興味深いものとなりました。感謝を表わすことを求められた参加者は対照グループと比べて、人生についてより楽観的に感じ、より満足感をもったのです。より健康にもなっていました。さらに、頭痛や吹き出物、せき、吐き気など、身体に起こるさまざまな悪い症状が減少すると同時に、運動をする時間が増えたのです。

持病を抱える学生や成人を対象にした同様の実験でも、同じ結果がでました。この研究から、まず感謝を表わそうと努力した日には、人々がいっそう興味や興奮や喜びなど「ポジティブ感情」を覚えることがわかってきました。そしてこれまでに比べて、誰かを助け、まわりの人との絆を感じる傾向が強くなり、さらにぐっすり眠れるようになったことが報告されています。

このような研究から、感謝の気持ちを表わすことが、心や身体の健康と関連することが初めてわかりました。しかし、この研究の真の目的は、感謝が「ポジティブ感情」や健康にすぐさまよい影響を及ぼすかどうかを判断することです。つまり、より感謝をすれば、その日がより幸せであると感じるかどうかを調べるものでした。