苦し紛れの発言が次の「トンデモ発言」を呼ぶ

今回の発言のきっかけをつくった、昨年10月10日の記者会見に戻ってみる。

川勝知事は「もしわたしが、JR東海の意思決定者であれば、現在の川勝と膝を突き合わせて話して、その場で解決策を出せるという自信がある」と発言した。これにより昨年12月の静岡県議会で「解決策は何か」を厳しく追及された。

「具体的な解決策」を問われた川勝知事は「わたしの発言は、JR東海との対話を進めるために、意思決定者である丹羽(俊介)社長に強いリーダーシップを持って取り組んでほしいという思いを述べた」と直接的な回答をはぐらかして逃げた。

昨年10月10日の川勝知事の会見(静岡県庁)
筆者撮影
昨年10月10日の川勝知事の会見(静岡県庁)

県議会は、そのような曖昧な回答を許さなかった。

再質問が続き、結局、4度目の答弁を求められた川勝知事は「現行ルートを前提にした上で、できるところから、つまり開通できる状況になった区間から開通させることが解決策となる。実験線の延伸、完成が1つの例示となる。これは社長にしかできない」と、「部分開業」論をぶち上げた。

この「部分開業」論から始まって、ついには年始の新聞各紙のインタビューで「2037年までに南アルプスの問題を解決すればいい」と唱えることになったのだ。

厳しい追及には得意のウソで逃げ回る

「膝を突き合わせる」発言を引き出した記者のもともとの質問は「知事の任期中に、静岡工区の問題を解決するのは不可能という認識か」だった。

この質問に、川勝知事は全く関係のない話を続けてはぐらかしたため、あらためて記者は「残りの2年弱の任期中で、(解決の)道筋を立てるのか、それとも不可能か」とただした。

つまり、「静岡工区の解決の道筋」を聞かれて、川勝知事は「もしわたしが、JR東海の意思決定者であれば、現在の川勝と膝を突き合わせて話して、その場で解決策を出せるという自信がある」と回答したのである。

それが、静岡県とは何ら関係もない「部分開業」論となってしまったのだ。県議会の厳しい追及に、得意の「嘘」で何とか逃げたというのが実情だろう。