リーグの活性化を阻害する
しかしNPBでは今オフの時点でFA資格を満たした選手は22人いたが、FA宣言をしたのはわずか7人だった。
FA権を行使する選手が極めて少なく、トレードなど、それ以外の移籍も少ないNPBでは、移籍はあたかも「不名誉なこと」のように受け止められている。だから人的補償にまつわる愁嘆場が起こったりするのだ。プロ野球の世界では「寄らば大樹の陰」という言葉が、いまだに生きているようだ。
しかしFA権を取得するまでプレーをした選手は、すでに成功者であり、チーム、リーグに貢献した功労者でもある。このタイミングで自動的にFAとなり、自分の評価、価値を他球団との交渉で確かめてみるのも有意義ではないか。
一方で「FA年限に達した選手は、同意がない限りその年度は解雇できない」というルールを設けることで、選手はリスクなく交渉ができるのではないか。さらに言えば、国内8年、海外9年というFA年限も短縮すべきだろう。
MLBに比べてNPBでは選手移籍の流動性が極めて低い。それがリーグの活性化の阻害要因になっていると思う。
「FA年限に達する=自動的にFA」とすることで、NPBにはさまざまな化学変化がおこるのではないか。人的補償を巡るドラマは、流動性がなく閉塞感に満ちた日本社会の象徴だ。