ビジネスで成功するには何が必要か。元ドリームインキュベータ代表で経営コンサルタントの古谷昇さんは「小さな会社は戦略がないとあっけなくポシャッてしまう。しかし、戦略は万能ではないし、お手軽な思いつきにすぎない粗製濫造のものも混在している。戦略コンサルティングというコンセプトを最初に提唱したBCG創業者のヘンダーソンは、著書の中でビジネスで成功するには何が必要かと聞かれて、『成功の一番の鍵は運である。そして二番目が戦略だ』と述べている」という――。

※本稿は、古谷昇『コンサル0年目の教科書 誰も教えてくれない最速で一流になる方法』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

成功のコンセプト
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まずはビジネスの意外な真実から

十数年の経営コンサルタント経験を積めば、誰だって、まあオレもなんとか人並み以上に仕事ができるようになったんじゃないか、くらいの自信はできる。現実に私もBCGでシニア・ヴァイス・プレジデントになっていた。

ところが、そんなとき突然、大きな転機が訪れた。

DI(ドリームインキュベータ)の創業話である。当時BCGの社長だった堀が、いきなり独立を私に告げた。

青天の霹靂、寝耳に水――と、あのときの様子と以後の経緯を記せば、読者の方たちにもそれなりに興味深く読んでもらえるはずの話が書けそうだ。しかし、それはここでは省いて、結果のみ記す。

BCGでの仕事は主に大企業相手のコンサル、DIの創業目的はベンチャー育成。ついでにいえば、DIでの年収はBCGのときの4分の1以下になる。仕事面、生活面、その他もろもろのことを考えると大きな冒険ではあったが、私は最終的に新天地での新たなスタートを選んだ。

それから数年。いろんなベンチャーの育成を手がけてきて、いくつか面白いことに気がついた。

なんといっても、その第一は「戦略」についてである。

いわずもがなだが、経営コンサルタントの生命線は「経営戦略の立案能力」ということになる。BCGでは、戦略を大企業に売っていた。いまは、大企業に加えてベンチャー企業にも戦略を売っている。あるいは指導、アドバイスしている。

そこで質問。経営戦略がより必要なのは、大企業のほうでしょうか、ベンチャー企業のほうでしょうか?

じらさずに即答しておく。正解はベンチャー企業のほうなのである。