実際にどのような話をしているのかと耳をそばだててみると、滝会長は営業戦略について熱く語っていた。会議には「共鳴」「発見」「合意」の3つのプロセスがあると説明したが、これはまさに共鳴のプロセス。経営トップが社員一人一人にビジョンを語りかけることで、末端まで筋の通った組織が出来上がる。聞いていた若手社員の頬が紅潮しているように見えたのも、おそらく長い距離を歩いたからではない。トップの熱が伝わったのだ。

前出の寺沢氏はウオーキングミーティングを次のように評する。

「一緒に歩けば自然に歩調が合い、呼吸のリズムも近づいていきます。それによって緊張が解け、言葉を受け入れる体勢が出来上がる。出席者と問題意識や目標を共有し、同じ方向に向かっていくのに効果的な会議スタイルだと思います」

もちろんぐるなびでは、通常の会議も行われている。ウオーキングミーティングは、あくまでも複数ある会議オプションの一つにすぎない。その意味でこのスタイルを一般的な会議にそのまま導入するのは難しいかもしれない。ただ、熱い会議を実現するには、既存の枠にとらわれない大胆なチャレンジも必要だ。

「会議は一度で終わりではないのだから、面白そうな形式があれば積極的に試してみればいい。運営者はもちろん、出席者からもアイデアを募り、今週はA案、来週はB案といように、トライ&エラーで試していく。同時にその会議が盛り上がったかどうかのレビューを全員で行えば、出席者の参加意識はさらに高まるはず。自分たちが会議をつくっている感覚が芽生えれば、会議も自然に機能するようになるのではないでしょうか」(寺沢氏)

会議の設計は運営者の役目だが、舞台づくりの段階からいかに出席者を巻き込むか。それが停滞会議から抜け出す鍵なのかもしれない。

※すべて雑誌掲載当時

(小原孝博=撮影)
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