一度決めたことは貫いたほうがいいのか。アメリカの哲学者ジョン・デューイは「何か問題が起こるたびに新たなことを試し、考え直すことこそが知性だ」と説いた。新刊『21世紀を生きる現代人のための哲学入門2.0』(Gakken)からその思想を紹介しよう――。
※本稿は、富増章成『21世紀を生きる現代人のための哲学入門2.0 現代人の抱えるモヤモヤ、もしも哲学者にディベートでぶつけたらどうなる?』(Gakken)の一部を再編集したものです。
「一度言ったことを訂正したら信頼を失う」という不安
変化の激しい現代では、仕事の中でも状況に応じて臨機応変に取り組む場面が多いかと思います。
ただ、「一度部下に指示した内容が二転三転したら、リーダーとして頼りないと思われるのではないか?」「一度取引先に話した内容を訂正したら、信頼を失うのではないか……?」などと、不安に思う方もいるのではないでしょうか。
そんな方に知っていただきたいのが、哲学者デューイの「道具主義」という考え方です。
「初志は貫徹すべきか」という多くの方が悩むテーマについて、もしも現代人とデューイが話してみたらどうなるのでしょうか? ここでは、「初志貫徹」を美徳とするベテラン役員と、哲学者デューイという、2人のキャラクターによるディベートをご紹介します。