首相が指導力を発揮しているは2割
岸田政権は今後、どうなるか。12月の読売新聞世論調査(15~17日)では岸田内閣の支持率は25%で、自民党の政権復帰以来、最低だった前回11月調査の24%から横ばいだった。
政治資金を巡る一連の問題で、首相が指導力を発揮していると「思う」は19%にとどまり、「思わない」が73%に上った。安倍派4閣僚が交代する事態になったことについて、首相の責任が大きいと「思う」は59%で、「思わない」の32%を上回った。
自民党内には、派閥の解消は無理だとしても、政治資金の流れについて透明性をより確保するための政治資金規正法の改正などを求める声があるが、首相ではこれに対応できない、と世論に見透かされていることになる。
政党支持率は、自民党が28%で政権復帰以降初めて3割を下回った前回調査から横ばいだった。立憲民主党は5%(前回5%)、日本維新の会が5%(同7%)に沈んだままで、無党派層は48%(同48%)に積み上っている。
自民党内では、現時点で解散・総選挙があれば、政権を維持できても、自民党30議席減、公明党10議席減との観測がささやかれている。
「岸田降ろし」はすぐには始まらない
内閣・自民党支持率が、所得税減税をめぐる混乱などによってこれほど下落しているのに、党内に「岸田降ろし」が起きないのはなぜか。首相に辞任する気が全くない、まともな次期総裁候補がいない、野党の支持率がさっぱり上がらない、国政選挙が当面ない、と見込まれているからだ。
岸田首相はその間に解散・総選挙を打てるまでに政権を浮揚できるのか。24年1月からの通常国会は、「所得税減税」など不興を買っている経済政策や政治資金の裏金化疑惑などで、防戦一方になるのは目に見える。
自民党の石破茂元幹事長は11日、BSフジ番組で、首相の責任の取り方について、「(24年度予算)成立後、首相が『辞める』というのはありだ」「心中密かに決意していればいい」と述べ、首相の退陣時期に言及した。政権に後ろから鉄砲を撃つのは恨みを買うだけだが、一つの考え方なのかもしれない。
いずれにせよ、25年夏に参院選を控え、岸田首相の下で戦えば、「衆参ねじれ」を引き起こしかねないと判断されれば、その1年前くらいから退陣に向けてのカウントダウンが始まる。指標になるのは、24年の通常国会での論戦、内閣支持率の回復度、4月の衆院島根1区などの補選、地方の首長選などの結果だろう。誰が値踏みするのか。党内では、岸田政権を作った一人で、首相の後ろ盾となっている麻生氏ではないかとみられている。
首相は、24年の総裁選に再選を期してきたが、その可能性は日々萎んでいる。