「睡眠中は風邪を引きやすい」という実態
私がオススメしている眠り方は、“短時間睡眠”です。
もし睡眠時間が短くても、健康や美容に影響がなく、身体にとって特に不利な状態にならないとしたら、あなたは長時間眠りますか? それとも僅かな時間しか眠りませんか?
本書を手に取ってくださった多くの人が、短時間睡眠を選び、活動時間を伸ばすのではないでしょうか。
多くの人は「眠り」を、体調を整え、日中(活動中)の眠気を予防するためのものと考えていることでしょう。
しかし、意外に思われるかもしれませんが、睡眠時は体温や免疫力、代謝や酸素飽和度など、健康に関わる様々な機能が低下し体調不良になりやすいのです。
睡眠中は水分の摂取が長時間できないことから、唾液の分泌が抑制され口臭が発生しやすくなり、歯周病の原因になることもあります。流行病なども、睡眠中のフィブリノゲン増加やD-ダイマーの増加によって悪化するだけでなく、後遺症の発生リスクも増大します。
もっと一般的な話でいうと、睡眠中は非常に風邪を引きやすくなったり、喉の不調を引き起こしやすかったりと、睡眠の実態は、一般的に信じられているものと大きく異なります。
にわかには信じられないかもしれませんね。
寝ている間に徐々に体調が悪化している
しかし、次のような経験をした覚えがないでしょうか?
これは寝起きにいきなり体調が悪くなるのではなく、寝ている間に徐々に体調が悪化しているということです。睡眠は魔法ではありません。
栄養不足の人が睡眠をとったとしても、栄養不足なままであり、身体は強制的に自分の体から栄養を作り出そうとします(オートファジー、糖新生など)。
当然、身体の一部から栄養を作り出しているということは、気づかないうちにどんどん身体は蝕まれていくことになります。
もし、睡眠の最中に免疫力が向上しているのであれば、起きている間に体調面に問題のない温度や環境であれば、そのままの環境で眠ったとしても問題は発生しないはずです。
しかし実際には、掛け布団をかけないだけで、眠っている間に寒気をもよおして、最悪は風邪や体調不良になります。
なぜ、睡眠の間に体調不良になるのかは前項でお伝えした通り、栄養不足、水分不足、体温の低下や酸素飽和度の低下、血流の低下など様々な要因が複合されて引き起こされる事態です。
休日だからといって睡眠時間を多くとることが不調になる原因と考えられます。
「平日頑張りすぎた疲れが休みの日にどっと出てくる」という人もいるかもしれませんが、平日の疲労が休日に発生するという科学的論拠はありません。平日よりも睡眠時間を伸ばすことによって、疲労が蓄積し、倦怠感や体調不良に結びついていくのです。
また、平日(お仕事などしているとき)と全く違う活動をすることは脳や身体にリラックス効果を与えるなどポジティブな面もあります。
ただ、免疫系に関しては、ストレスを感じて一時的に免疫力が低下してしまうこともあります。
朝起きる時間がズレることによって、時計遺伝子が狂ってしまうことや、ストレスによる代謝変化の結果、休みの日の夜になってなかなか寝付けないといったことも発生します。