ゲームアプリで女児に近づき…

子どもたち、そして親にも「真面目そうなお父さん」「やさしいお兄さん」に見える加害者がどんな裏の顔を持ち、いかに子どもを巧みにグルーミングしていくのか。

ここからは、これまで私が臨床の現場で関わった加害者たちの具体例を挙げながら、その手口を明らかにしていきます。なお、ここからは性被害・性加害の具体的な描写が出てきますので、ご注意ください。

事例① 他校の児童にゲームアプリで近づいた小学校教諭

小学校教諭のA(30代男性)は温和で仕事熱心。児童からの人気が高く、保護者からの信頼も厚い、いわゆる「いい先生」だったという。公務員の妻と小学校低学年になる娘の3人家族で、数年前には関東郊外に新築のマイホームを構えた。

しかしAには、誰も知らない別の顔があった。それは、夜な夜なスマホのオンラインゲームアプリに出没することだ。自分が農場のオーナーとなり、作物の栽培をする人気の農場ゲームアプリで、ほかのプレイヤーと収穫量を競ったり、チャット機能を使ったやりとりができる。ランキングも発表され、Aは常にトッププレイヤーとして一目置かれる存在だった。

残業を終え帰宅するとAは、時間を見つけてはゲームアプリを立ち上げていた。アプリ上でAは、何人ものプレイヤーとやりとりしていたが、そこには数多くの未成年者が性別を問わず含まれていた。

コンピューターで作業するビジネスマン
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

実際に会うようになり、そして…

ある日、Aは小学校6年生の女児とゲームアプリを通じて知り合った。最初はたわいもない雑談から始まり、やがてAが希少性の高い有料アイテムをプレゼントしたり、ゲーム攻略のアドバイスをするなど、徐々にふたりの距離は縮まっていった。

さらにやりとりはゲーム外にも及び、やがてAと女児は実際に顔を合わせるようになった。彼は小学校の教諭であることは隠さず、ときに女児に勉強を教えるまでふたりの関係は親密になっていった。そしてある日、ついにAは女児をホテルに連れ込み、暴行や脅迫を用いずにちつ内性交や口腔こうくう性交を含む性加害に複数回及んだ。また、その様子をスマホで撮影していた。

「自分が担任をしている児童には、そんなひどいことはできません」

これは実際にAが口にした言葉です。

私が最初にAと出会ったのは、警察署での面会でした。私はソーシャルワーカーとして、しばしば刑事手続きの入口段階で、拘留中の性犯罪加害者と面会をしています。そのなかで、裁判に必要な再犯防止計画を一緒に作成していきます。

前述のとおり、Aは女児をオンライングルーミングの末、性加害に及びました。後日、女児の様子がおかしいことから保護者が異変を察知し、警察に届け出たことでAの加害行為が明らかになりました。逮捕後、ほかにも複数人の小学生女児への同種の加害行為が発覚し、強制性交等罪、強制わいせつ罪、児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)に問われたAは懲役10年の実刑判決を受け、現在は刑務所で服役しています。