1つの投稿に一斉に群がる男性たち

NHK「クローズアップ現代」の取材班が性被害者支援に取り組むNPO法人「ぱっぷす」と協力し、架空の女子中学生のTwitterアカウントを作成したところ、「友達がほしい」とひと言つぶやいただけで、わずか2分間で12人もの男性たちからメッセージが殺到しました(*1)。そのなかには一方的に性的な要求をする、まるで人を人とも思わないようなメッセージも見受けられました。

この投網をかけるようにターゲットを探す手法は、性犯罪以外でも見られます。かつて主にTwitterで「死にたい」など自殺願望があるような投稿をしている女性に狙いを定め、「一緒に自殺をしよう」と誘い込み、殺害を繰り返した「座間9人殺害事件」と構造は共通しています。加害者はオンライン上で、不特定多数のなかからターゲットを虎視眈々こしたんたんと見定めているのです。

たとえSNS上で知り合っても、リアルで対面しなければ問題ないというわけではありません。SNS上のグルーミングで性加害者が子どもと信頼関係を構築したうえで、性的なメッセージを重ねた末、子どもたちに性的な写真や動画を送らせる事案も頻発しています。加害者の男性が女児のふりをして一方的に性的な画像を送りつけ、「私はこんなに見せたのに」と同様の画像を送るように要求するパターンもあります。

もちろん加害者が先に送ったのは、インターネット上で手に入れた画像です。しかし、信用して性的な写真や動画を送ってしまう。場合によってはそれらのデータが流出、拡散され、取り返しのつかない「デジタルタトゥー(インターネット上で一度拡散された書き込みや個人情報などが、入れ墨のようにいつまでも残り続けること)」となり、その後の人生にも深い影響が及んでしまいます。

(*1)「追跡・SNS性犯罪~ネット上で狙われる子どもたち」NHK「クローズアップ現代」、2021年11月4日

スマホを操作する者
写真=iStock.com/yamasan
※写真はイメージです

女性だと偽ってわいせつ画像を送らせる

2021年9月にも、当時11歳の女児にわいせつな画像を撮影させて送信させたとして、元力士が逮捕されました。加害者と女児はアバターを作成して交流するインターネットアプリ上で知り合ったとされ、犯行当時、加害者は現役の力士でしたが、自らを16歳の少女であるように偽ったとも報じられています。

また、この加害者は、顔が写った写真を送ることを嫌がる子どもに対しては、やりとりした性的な写真などを「ネットで公開する」と脅したそうです。被害者はそのほかにも当時9~13歳の女児4人にのぼり、翌年3月、強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反(単純製造)の罪で、懲役2年10カ月の実刑が言い渡されました。