安易に「わかった」と思い込まないほうがいい

これら4段階のコミュニケーションレベルのうち、「要するに○○でしょ」とまとめるというのは、最も浅い聞き方である「レベル1:ダウンローディング」にすぎないということがわかります。このような聞き方では、聞き手はこれまでの枠組みから脱する機会を得ることができません。

山口周『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』(KADOKAWA)
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より深いコミュニケーションによって、相手との対話から深い気付きや創造的な発見・生成を起こすには、「要するに◯◯だ」とパターン認識し、自分の知っている過去のデータと照合することはなるべく戒めないといけないのです。

もしも「要は◯◯でしょ」とまとめてしまいたくなったときには、そうすることで新たな気付き・発見が失われてしまう可能性があるのだ、ということを思い出しましょう。

容易に「わかる」ことは、過去の知覚の枠組みを累積的に補強するだけの効果しかありません。本当に自分が変わり、成長するためには、安易に「わかった」と思うことを、もう少し戒めてみてもいいのではないでしょうか。

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