交換の57%が「動物商」との間で成立

通常はまず、動物園同士での交換を探る。だが、このときは条件があう動物園が見つからなかった。

そこで頼ったのが、動物商という存在だった。

国内の多くの動物園は、加盟する日本動物園水族館協会(JAZA)を通じて、余剰動物の情報をやりとりしている。

ただ、交換にこだわると、希望の動物種、雌雄の別などがうまくマッチングしないことが少なくない。タイミングを逃すと動物は成長し、近親交配や闘争のリスクが高まる。

そこで交換をあきらめ、無償譲渡が行われるが、一方で、動物商との交換も有力な選択肢になる。

朝日新聞の集計では、交換の57%が動物商との間で成立していた。

25%の動物が動物商に売却されていた

先述の平川動物公園では、大手だった有竹鳥獣店(東京都大田区、18年に倒産)に相談し、コツメカワウソ2頭、オナガザルの仲間のブラッザグエノン1頭、アライグマの仲間であるキンカジュー2頭、アカカンガルー1頭と引き換えに、カピバラ1頭、ベネットアカクビワラビー1頭を迎え入れた。

相手が動物園でも動物商でも、交換される動物の見積額の総額は、「等価」になっている。

情報開示請求をして入手した資料をより細かく分析すると、ほかにも多くのことがわかってきた。

「交換」を含めた、動物の移動先として、国内の別の動物園や水族館が62%で最も多かった。

動物商と呼ばれる鳥獣売買業者やペットショップなどの業者も25%を占めた。

犬
写真=iStock.com/joshblake
鳥獣売買業者やペットショップなどの業者も25%を占めた(※写真はイメージです)