アシカがほしい水族館が列をなして待っている
熊本市動植物園では、17年にシロクジャク4羽を、動物商の川原鳥獣貿易に引き渡し、交換でホンドギツネ2頭を入手している。
18年にもやはり川原鳥獣貿易との交換で、シロクジャク5羽を出し、ニホンキジ1羽などを入手。
アシカは、動物園にとっては余剰動物でも、水族館にとっては重要な動物で「垂涎の的」。そのため動物園は、アシカを「通貨」として使うことが多い。
「水族館は、アシカがほしくてたまらない。ショーに使うからです。動物園が繁殖するアシカは、ウェイティングリストにずらりと水族館名が書いてあるような状態になっている。水族館が、列をなして待っているんです」。ある動物園関係者はそう話す。
アシカが妊娠するとショーに使えなくなる
それほどアシカがほしいなら、水族館は自分たちで繁殖すればいいのではないか?
当然、そんな疑問がわくだろう。
だがもし、繁殖のためにメスを妊娠させてしまえば、1年程度はショーに使えなくなってしまう。その度にトレーニングもやり直しになる。
だから水族館は、動物園からアシカを求めることになる。
東山動植物園(名古屋市)は2015年、カリフォルニアアシカ1頭を福岡市の水族館「マリンワールド海の中道」に出し、代わりにアルパカ1頭を入手した。
東山動植物園がほしい動物が、マリンワールドにはいなかった。そのためマリンワールドに、わざわざ動物商からアルパカを購入してもらい、そのアルパカとの交換という形を取った。
東山動植物園では毎年1、2頭のアシカが産まれていて、水族館から引く手あまただという。