近くに住む祖父母という隠れた格差
頻繁に預ける場合は多少のお礼を渡す人もいるでしょうが、民間学童に預けたりベビーシッターを利用したりするのに比べればはるかに安く済むので、ある知人は「経済的にもかなり助かっている」と本音を漏らしていました。いざとなったときに頼るあてがあるというだけでも、親の精神的な負担はかなり軽減されます。
子どもがいると、仕事の繁忙期や急なトラブル対応が発生したときでも上司や同僚に頭を下げて定時で帰らなければなりません。そんなときに「最後の手段」として祖父母を頼ることができれば、親のストレスはまったく違ってきます。
子どもの発熱で保育園や学校から呼び出しがあったときに、問答無用で即座に早退しなければならないか、とりあえず祖父母に引き取りに行ってもらえるかというのも大きな違いです。
最近は、そんな「孫育て」をリタイア後の生きがいにしている祖父母も少なくありません。一方で、長生きリスクや先細る年金への懸念から、再雇用やパートで働く祖父母もいます。晩婚、晩産の影響からか祖父母が高齢で病気を抱えていたり、要介護状態で孫育ての余裕などないケースも多いため、実家を頼れるかどうかはきわめてセンシティブな話でもあります。
表向きは共働きの夫婦と子どもという同じ家族構成でも、子育てにかかわるすべてに夫婦2人だけで対応しなければならない状況と、近くに住む祖父母という、いざというときのセーフティネットがある状況では、内情は全く違います。
何事もなく保育園や学童を利用できる平時はそれほど違いがわかりませんが、実は隠れた格差があるのです。