月に10万円の民間学童も

希望した公設の学童施設に空きがない場合は民間の施設を利用する方法もあります。民間の学童施設は、21時や22時まで子どもを預けることができたり、晩ご飯を出してくれたり、学童から習い事への送迎もしてくれたりと、公的な学童に比べて保育内容が充実しています。

親の仕事中に施設内で子どもに習い事や宿題、受験勉強までさせられることを売りにしている民間学童も多数あります。子どものお世話から勉強の指導まで、かなりの部分を親の代わりに担ってくれますから、手厚い民間学童に通わせている保護者に聞くと、「小1の壁」にもそれほど直面せずに済んでいるようです。

ただ、その分料金は高額です。公的な学童施設は地域により月額数千円から1万円程度で利用できますが、民間学童は週5日利用すると月に4~6万円が相場です。送迎や習い事、塾などのサービスの利用料が別途必要な場合には、費用が月に10万円近くになるケースもあります。

それでも、保育園時代よりも早く下校する子どもの居場所を確保するために、どうしても学童に入れなければならないという状況は、多くの共働き世帯が直面する課題です。

入会申込後に公的な学童施設に入れることになって入会を辞退しても、入会金が返金されない民間学童もありますが、それを覚悟で申し込む人も少なくありません。

親の努力とお金ではどうにもならない難問

学童に行かせても、それだけで「小1の壁」問題がすべて解決するとは限りません。今度は「子ども自身が学童に行きたがらない」という問題が出てくることがあるからです。

保育園のように全員が夕方まで一緒に過ごすわけではなく、学童を利用していない子どもたちは学校が終われば家に帰っていくのに、「なぜ自分だけ学童に」という思いを抱くのは自然なことですし、友達関係の悩みやトラブルも起こり始める時期です。

実際、学童に入れたもののしばらくすると本人が行くことを渋るようになり、早々にやめてしまったという話をしょっちゅう聞きます。多少無理をしてでもお金を出してサービスの手厚い民間学童に行かせさえすれば、小1の壁を乗り越えられるのではと期待していても、子どもにとって学童が必ずしも居心地の良い居場所になるとは限りません。

親の努力とお金だけではどうにも解決できない問題です。幼い子どもの子育てとは違う、小学生ならではの難しい局面といえます。

しかし、もし実家を頼れるのなら話が違ってくるかもしれません。自宅から実家が近ければ、学校帰りに子どもが祖父母宅に立ち寄って親の帰りを待つという選択肢もあり得ます。

タブレットを見ているおばあちゃんと孫
写真=iStock.com/georgeclerk
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当然ながら祖父母が心身ともに健康であり、かつ本人たちの同意があって初めて取り得る手段ではありますが、他人と違って気心の知れた家族なら安心して子どもを預けられますし、かわいい孫が日常的に家に来てくれるとなれば、喜ぶ祖父母も多いでしょう。

筆者の周囲でも、小学生に限らず実家が子育ての多大な縁の下の力持ちとなっている例が数知れません。「スープの冷めない距離」というように近隣に住んでいる人だけでなく、事あるごとに電話1本で実家の親が新幹線で駆けつけている家もあります。