親のやるべき仕事が増える
しかし、施設の面倒見の良さにもよりますが、学童できちんと宿題を仕上げてくる子ばかりではありません。低学年のうちは抜け漏れがないかのチェックや答え合わせなどには親のサポートが必要です。
また宿題だけではなく、小学校に上がると子どもが自宅で済ませておくべきタスクが一気に増えます。
翌日の時間割に合わせて教科書とノートを全科目分ランドセルに揃えるだけでも、毎日忘れずにやるのは簡単ではありません。図工の授業で使うトイレットペーパーの芯を用意するとか、鍵盤ハーモニカのホースのパーツを洗っておくといった小さなタスクも挙げればきりがありません。
多くの子にとって、小学1年生のはじめはまだ自分で身の回りのことをしたり、時計を見て自ら進んで宿題を始めるようなことは難しいので、小学校生活をつつがなく過ごすという一見なんでもないことも、きちんと実現するには、親が全く関わらないわけにはいきません。
夕食の支度や家事をこなしながら、子どもの宿題や持ち物の準備のサポートをするのは、子どもの性格や人数などにもよりますが、親にとっても一仕事です。自身の本業で働いた後のことともなると、親が疲れないはずがありません。
泣く泣く仕事を辞める
小学生になれば習い事や塾通いも増え、教育費の出費が増えがちです。そのためには仕事をして少しでも収入を確保したいというのが本音でしょう。しかし、あまりに忙しい生活に限界を感じて、子どもが小学校1年生になったタイミングで泣く泣く仕事を辞めるケースは、共働きの家庭では少なくない話です。
子育てと仕事の両立について論じられるときには、主に育児休業の充実や待機児童対策についてなど、子どもが生まれた直後や幼児期に目を向けられることがほとんどでした。
その結果、第一子の出産後に仕事を継続している妻の割合は38.3%と、2000年代の初めから10ポイント上昇していて、産前から働いていた人のなかでは半数を超えています(内閣府令和4年版少子化社会対策白書)。
その点では、未就学の子どものいる親が仕事と子育てを両立しやすい環境整備は確実に進んできていると言えそうです。しかし子育てと仕事の両立はそれで終わりではありません。
学習や学校生活のサポート負担も増えるので、小学校に上がってからの方がむしろ親は仕事をしづらくなる面もあるのです。