「自分のやりたい仕事」「誰かのやりたい仕事」

身の回りの大人たちを見ていて、世の中には、「自分のやりたい仕事をする人」と「誰かのやりたい仕事をする人」の2種類しかいないと私は思う。「仕事をしている人」と「仕事をさせられている人」と言ってもいいかもしれない。

もちろん、何もかも自分のやりたいように仕事できる人は少ない。サラリーマンであれば、仕事は会社から与えられる。

しかし、与えられた仕事を自分なりの仕事にリフレーミングして、自分の仕事として楽しめる人がいる。そういう人たちの多くは、仕事ができると評価されている人たちだ。そして、そういう人たちは、ある程度、年齢を経て経験を積めば、自分のやりたいことに近いことを実現できる。

もちろん、自分のやりたいことをそのまま実現できるとは限らない。しかし、やりたいことに近いことは実現できるのである。

「仕事をしている人」と「仕事をさせられている人」は、「仕事をしている人」の方が絶対、楽しいと私は思う。だから、私は学生たちに社会に出たら「仕事をしている人」であってほしいと思う。

「ジブンデヤル世界」と「ヤラサレテヤル世界」

指示待ち型の学生は、私が指示すれば、私の思い通りに動く。

しかし、「好きなようにしていいよ」と言うと、戸惑って、何もできなくなってしまう。私にとっては、便利なことこの上ないが、それでは学生たちがあまりにかわいそうだ。

稲垣栄洋『雑草学研究室の踏まれたら立ち上がらない面々』(小学館)
稲垣栄洋『雑草学研究室の踏まれたら立ち上がらない面々』(小学館)

私が学生に配る資料には、次のような文章を載せている。

「世の中には、『ジブンデヤル世界』と『ヤラサレテヤル世界』とがあります。ヤラサレテヤル世界の住人は、ずっと誰かがやりたいことをしています。ジブンデヤル世界の住人は、だんだんと自分がやりたいことができるようになっていきます。あなたは、どちらを選びますか?」
「指示待ち型は、楽しくない。彼らを主体的に動けるようにしてあげたい」

私は頑なに、こう考えていた。そう、彼に出会うまでは……。

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