「人脈づくり」に罪悪感を感じることもなくなる

ネットワーキングとアイデアワーキングの違いは、もう1つある。あなたにとって、どちらがやりやすいだろう? ビジネススクールに行く目的によく挙げられるのが、人脈づくりだが、私の教え子の大半が、人脈づくりがうまくいっていないと感じている。

授業で「ネットワーキングが得意な人は?」と聞いても、ほとんど手が挙がらない。自分を売り込むのが苦痛で、人をだましているような気分になる、と悩んでいる。内向的な人はネットワーキングを拷問のように感じる。

授業でアイデアワーキングを説明すると、あちこちからホッとしたようなため息が漏れる。私がこれを説明するのは、選択マップの探索を開始する直前だ。そしてその後の数週間というもの、学生が引きも切らずに私のところにやってきて、アイデアワーキングを始めました、教えてくれてありがとう、と打ち明けてくれる。

学生は、普通のネットワーキングでもこの手法を使っているという。勤め先や出身大学、ペットなどのありきたりの雑談をする代わりに、自分の抱えている課題を簡単に説明し、何かうまい方法を知りませんかと尋ねるのだ。たとえ具体的な成果に結びつかなくても、会話のタネとしてずっと面白いし、普通のネットワーキングよりもよい人と知り合うことができる。

「弱い紐帯」からはより価値の高い知識を得られる

ネットワークは社会科学の主要な研究分野になっている。ネットワークは、「強い紐帯」と「弱い紐帯」の2種類に区別できる。強い紐帯はしょっちゅう連絡を取り合う相手、弱い紐帯はめったに交流しない知り合いを指す。

アイデアワーキングは、弱い紐帯をつくる取り組みだ。社会学者マーク・グラノベッターの有名な研究によると、強い紐帯で結ばれた人々は環境が似通っているために、同じような知識を持っていることが多いのに対し、弱い紐帯からは、より目新しく価値の高い知識が得られるという。