時代にあった自販機

社長のおごり自販機」では、一定の利用制限を設ける会社もある。たとえば「1日1本まで」や「同じ相手との利用は週に1回まで」などだ(そうした機能設定もできるという)。

利用制限の目的は、過度にのめり込まない、さまざまな人との交流を促す、ことだ。

「『社長のおごり自販機』に誘われた人の半数以上が、別の人を誘い返すというデータもありました。一度誘われたことで心理的なハードルが下がり、新しい人に声がけしやすくなるようです」(松本さん)

「社長のおごり自販機」とサントリーの松本俊さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
「社長のおごり自販機」とサントリーの松本俊さん

「おごり行きませんか」と声がけできる関係になれば、その後に、仕事の相談をするハードルが下がる効果もあるだろう。

近年、社内外のコミュニケーションも変わってきた。コンプライアンス意識の高まりもあり、親しい相手以外には1:1での食事も声がけしにくい。また、コロナ以前は需要があった「忘年会」が今年はどうなるかも注目しているが、忘年会をやらない動きもある。根底に流れるのは“脱・重たい付き合い”ではないか。

そうした潮流を踏まえると、「同じ釜の飯を食った仲」ならぬ、「同じ自販機をタッチした仲」というライトな人間関係から生まれる効果は興味深い。

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