「軽減税率を適用して」と陳情した新聞協会

【石橋】消費税率を10パーセントにするときも、新聞の定期購読料に軽減税率(*2)を適用するという、おかしなことがありました。

「週2回以上発行される新聞で定期購読契約に基づくもの」は、食料品などと同じ軽減税率適用で、8パーセントに据え置かれました。

積み重ねて置かれた新聞
写真=iStock.com/Wirestock
※写真はイメージです

あれは、新聞協会が各社で署名を集めて陳情したからです。財務省に頭を下げて、無理を聞いてもらった。そんな業界が防衛増税を議論するなんておかしな話です。

*2 軽減税率 消費税率は10パーセントになったが、一部の商品は8パーセントに据え置く制度。対象は、酒類・外食を除く飲食料品、定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞。

マスコミは日銀にも頭が上がらない

【田村】陳情する側が、陳情される側に頭が上がるはずがありません。

日銀と記者クラブの関係も同じようなものです。

記者は「教えてもらう立場」で頭が上がりません。日銀総裁会見を見ても、総裁が一方的にしゃべって、記者が疑問を発することがほとんどなく、そのまま送稿するというスタイルです。ネットの時代でマーケット向けの速報が重視されるからです。

それでも、総裁が“法皇”と称され、会見場に入る総裁を記者たちが直立不動の礼で迎えた昔よりはましですが……。

前にも述べましたが、財務省の場合は、官僚たちがネタを欲しがる財研記者を“ポチ”と呼んで、財務省に都合のよい材料をリークするのを“餌をやる”と称していたと、かの髙橋洋一さんがばらしていました。そんな記者は与えられた情報を鵜吞みにするのです。

【石橋】だから、財務省は記者を軽く見ている。簡単にコントロールできるし、利用する存在くらいにしか考えていない気もします。

【田村】こんなことがありました。1982年3月に、私は日経の日銀クラブのキャップになります。それまでは、産業界、通産省、外務省担当で、日銀の中に足を踏み入れたことは一度もなかったのです。

経済紙の日銀キャップですから、部下の記者の数は5人前後いる大所帯です。金融の知識習得に努めるのに手一杯ですが、上から言われるのは、日銀総裁人事はキャップの専管事項だということです。