冷凍食品の工場出荷額は過去最高
日本風に味付けを変えることなく、本場そのままの味を楽しめる中国料理「ガチ中華」が人気だ。そのガチ中華ファンを唸らせ、日本で暮らす中国人たちまでも満足させる本格的な味がSNSなどで話題の冷凍食品がある。それが、日清食品冷凍の中華ブランド「日清中華」シリーズだ。「担々麺」や「ビャンビャン麺」など、一度食べたらやみつきになる味を自宅で手軽に体験できる。その人気の裏側について、日清食品冷凍の担当者に話を聞いた。
まず、日本の冷凍食品は市場全体が好調となっている。日本冷凍食品協会の発表によると、2022年の冷凍食品生産量は約160万トンで、これは、過去最高を記録した2017年とほぼ同水準だ。金額(工場出荷額)においては、前年比4%増の7639億円で、調査開始以来最高となった。
好調な冷凍食品の中でも、近年、大きく伸びているのが麺類である。日本冷凍めん協会の発表によると、2022年の冷凍麺の生産量は約20億食で、前年比12.2%増だ。このうち、過半数の11億食を「冷凍うどん」が占めており、うどんは冷凍麺の代表格といえる。一方、グングンと急成長しているのが「中華めん」である。中華めんは約3億5200万食で、前年比20.7%増、市販用に限ると前年比30.7%増という急激な伸びを見せている。「本格的な味わいを楽しめる」と支持を集める中華めんは、好調な冷凍食品の中でも、特に活気づいた成長市場になっている。
中国由来の汁なし麺「ばん麺」
話を聞いたのは、日清食品冷凍マーケティング部次長の三島健悟さんだ。三島さんによると、冷凍麺の市場は、「冷凍うどん」の誕生を皮切りに拡大していった。また、冷凍ラーメンは、太麺のちゃんぽんがメインだったが、近年では、「ラーメンらしいラーメン」の開発が進められているという。カップや袋の即席麺では、お湯を注いで食べる「汁あり麺」が主流なのに対して、冷凍ラーメンでは「汁なし麺」がここ数年で急速に伸びている。
日清食品冷凍では、汁なし麺を2種類に分類して、商品開発を行っている。1つは、日本のラーメン由来の「まぜ麺」である。まぜ麺は、麺のうまさやボリューム、味の強さを特徴としていて、メインターゲットに想定されているのは男性層だ。もう1つは、中国由来の汁なし麺「ばん麺」である。ばん麺は、唐辛子・花椒・山椒・胡麻といったスパイスや調味料の芳醇な香りと旨味が特徴で、メインターゲットは女性層となっている。この後者のばん麺を中心に扱うブランドが、「日清中華」だ。