リニューアルで内容量を増やし「大盛り」と記載
「一度食べたらやみつきになる、この一皿。本格中華麺がご家庭で簡単に堪能できる。」と銘打つ「日清中華」は、もともと、2011年に発売された「冷凍 日清中華 上海焼そば」から始まった。当時、冷凍食品ではブランドではなく商品単体で展開されることが一般的で、「上海焼そば」も1つの商品として展開されていた。この商品だけで使われていた「日清中華」というフレーズが、数年後にブランド名として抜擢されることになる。
2013年には現在の「冷凍 日清中華 汁なし担々麺 大盛り」の前身にあたる「冷凍 日清の汁なし担々麺」が発売されたが、思うようなヒットにはならなかった。そこで2014年、冷凍生パスタがヒットしていたことを受けて、伸び悩む「冷凍 日清の汁なし担々麺」を、冷凍生パスタと同様のスタイルでリニューアルをした。
もともと丸麺でソースは後がけだったものを、冷凍生パスタにならい、平打ち麺にしたほか、ソースと麺を絡めた状態で急速冷凍し、レンジで温めるだけですぐ食べられるワンタッチ調理に変更した。さらに、コストパフォーマンスに優れていることを強調するため、内容量を増やし、商品名にも「大盛り」と記載した。メインターゲットに選んだのは、食の経験が豊富で、新しい食への好奇心が旺盛な30~50代女性である。
年間売上20億円規模のヒット商品に
手軽さとコストパフォーマンスを際立たせたリニューアルが功を奏し、「冷凍 日清中華 汁なし担々麺 大盛り」は売上を伸ばしていった。「大盛り」を強調することは、一般的に男性層に対して有効なメッセージとなるが、「冷凍 日清中華 汁なし担々麺 大盛り」が打ち出した「大盛り」は女性層にも有効なメッセージとして受け入れられた。女性層に向けた商品には内容量をあえて少なめにするものも少なくないが、逆に「大盛り」とハッキリ打ち出すことで、目に見える形でお得感が伝わり、支持を集めることができたと考えられる。
2015年には、冷凍食品では珍しかった別添パックで「花椒入り唐辛子」を添付し、食べる直前にかける形にさらなるリニューアルを行った。辛さやしびれは、人それぞれ好みやちょうど良さが異なるため、自分で後がけする量を調整できるようにして、自分の「ちょうどいい」を作れる商品に改良したのである。これによって、辛さやしびれに関して、あまり得意ではない消費者から、大好きなガチ中華ファンまで、幅広い人々の舌を満足させられる商品となった。
この商品を核として、2018年からブランドでの展開が始まったのが「日清中華」である。「汁なし担々麺 大盛り」と「上海焼そば 大盛り」の2商品を軸に、中国本場の「ばん麺」の本質を追求して磨き込むブランドとして、徐々にバリエーションが拡充されていっている。現在は6つの商品が展開されているが、ブランドの核は変わらずに「汁なし担々麺 大盛り」で、年間売上20億円規模のヒット商品に成長し、2023年上期も前年比2桁成長を続けている。発売10周年にあたる2023年は、「花椒入り唐辛子」に爽やかな香りの「青花椒」をプラスした「Wスパイスパック」付きの数量限定品を販売するなど、キャンペーンを積極的に展開した。