朝4時45分に起きて勉強する「元バリバリ営業ウーマン」の39歳

「息子が生まれたことで、それまで全く意識することのなかった自分のキャリアについて、このままでいいのかと考えるようになりました。今、私は息子に誇れるような、本当にやりたい仕事ができているのかと――」。新卒で電子部品メーカーに入社以来、営業職1本で17年目を迎える小平ともみさん。

2021年に37歳で第1子を出産後、気持ちの変化を感じ始めた。「営業の仕事には真摯しんしに取り組んできましたが、心からやりたい仕事なのか、自分に向いているのかと自問すると、そうは言い切れなくて。自己分析をするなかで女性のキャリアを応援したいという気持ちに気づいたことから、キャリアコンサルタントの勉強を始め、23年8月に資格を取得できました」。

小平ともみさん:39歳・電子部品メーカー・営業企画 
同居家族:夫、息子、犬3匹
最近ハマっていること:サーフィン(6年前に始め、キャリアコンサルタントの資格試験までは控えていたが再開)、読書(主にビジネス書や自己啓発書)

出産後は体調や気持ちの変化に戸惑い、マイナス思考に…

高校時代に英語が好きになり、大学では短期留学も経験。海外赴任を夢見て、海外向けの売上が大きい大手の電子部品メーカーに就職した。営業職として鍛えられ、地方勤務も経験し、26歳で現在の夫と社内結婚。「結婚後、上司に『海外赴任がしたい』と伝えるととても驚かれました。当時、社内で女性の海外赴任経験者はほぼゼロだったので」。29歳のときに念願の海外赴任が実現。アメリカのカリフォルニア州、サンノゼに3年の任期で赴任した。1年目は単身赴任、残りの2年は夫が会社を休職し、専業主夫として同行した。

希望した海外赴任だったが当初は挫折の連続だった。「アメリカでは現地の大手企業の顧客を担当。英語で論理的に主張できないとなめられてしまい、顧客から信頼を得るまでに本当に苦労しました」。くじけそうな気持ちを支えてくれたのは夫だった。「夫は話を聞くのが上手で、『それは大変だったね』と私の思いに共感してくれて。話しているうちに気持ちが整理され、気づきも得られる。のちにキャリアコンサルタントの勉強で知る傾聴の力を夫から学んだところは大きかったです」。

アメリカ赴任から帰国後は、営業企画の部署で海外拠点を支援する仕事に従事。同時に社内で声がかかり、労働組合の支部執行部のメンバーに。4年間の任期の後半は支部執行部長を担った。「30代後半で妊娠できるリミットも迫っていたので、執行部の任期終了を見据えて妊活を開始。長男を授かることができました」。しかし出産後は、自分の体調や気持ちの変化に戸惑うように。「産後も体重が減らずに体が重く、腰の痛みもあり、1日中、赤ちゃんと家で向き合う生活だったので体力も落ちてしまって。自分でも驚くほど内向きになり、マイナス思考に陥ってしまいました」。