日々の仕事に忙しい社会人は、いつ、どうやって勉強をしているのか。「社会人経験ほぼゼロの専業主婦」から40代で英語を学び直し、職を得て、離婚をした50代女性と、出産後にぶつかった壁をきっかけにキャリアを見つめ直した30代女性の例を紹介しよう――。

※本稿は、日経WOMAN『THE DESK リアルな「勉強机」から見えた大人の学び100のヒント』(日経BP)の一部を再編集したものです。

「社会人経験ほぼゼロ」の4児の母は英語を猛勉強し離婚へ

4児の母で「社会人経験ぼぼゼロ」だった室町さんは、離婚を目指し、英語の猛勉強を開始。稼ぐ力をどんどんアップさせていきます。

室町博子さん:53歳・国立研究機関の国際課の専門職
同居家族:犬1匹、猫2匹
最近ハマっていること:ハイキング(近くの山への日帰り登山や、山登りの動画を見て妄想登山)、登山家の中島健郎氏が出ているYouTube、東方神起(ファンクラブ会員歴12年)

7年間の調停の末、2021年に離婚が成立。末っ子の18歳の娘が23年に大学へ入学し、学生時代以来のひとり暮らしとなった室町博子さん。17年間、専業主婦として夫の収入に頼らざるを得なかった室町さんが離婚という大きな決断ができたのは、英語力を磨くことで自ら稼ぐ力を身に付けたからだ。

「大学卒業後、事務のアルバイトを経て結婚し、4人の子育てに追われてきたので、まともな社会人経験はゼロ。夫と離婚したいと思ったとき、唯一、武器になるかもしれないと考えたのが英語でした」。夫の滞在に伴いイギリスで5年半暮らした経験があり、生活に必要な最低限の英語力は身に付けていた。

TOEICのスコアは960点、英語力を駆使して働いている

離婚を念頭に、一念発起して英語を学び直して再就職を果たしてから11年、現在は国立の研究機関で有期契約職員として、英語力を駆使して働いている。「TOEICのスコアは960点まで到達。今は英検1級取得に向けて勉強しています」。

茨城県に生まれ育ち、地元の進学校を卒業して法政大学の英文学科へ入学。アルバイト先の研究機関にいた大学院生の男性と交際が始まり、卒業後もそのままアルバイトを続けて結婚。夫がイギリスの大学へ行くことになり、出産したばかりの長男とともに家族で移住した。5年半の滞在を経て帰国後、34歳で末の娘を出産。4人の子育てに奔走しながらも、子どもの幼稚園でPTA会長を担うなど“良妻賢母”として努めてきた。戦前に創刊した雑誌『婦人之友』の読者組織である「全国友の会」にも入会。無駄遣いをしない家計管理や片づけ・整理術などを学び、暮らしをどんどん快適にしていくのが楽しかった。「この頃は、もう一生、外で働くことはないと思っていました」。