「低脂肪牛乳」はビタミンが減ってしまう

さて一口に牛乳といっても、市販されているものは大きく6種類──牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、乳飲料──に分けられる。

【図表1】牛乳の分類
出所=『老けない最強食

商品パッケージに記載される「種類別名称」で「牛乳」と記載されている商品が、生の乳(生乳)を加熱殺菌しただけのもので成分無調整。小山氏はこの搾ったままの「牛乳」を勧める。

「米なら精製されていない玄米、果物なら丸ごと食べるのがいいように、牛乳も成分無調整がいいと思います。牛乳をホールフードと捉えてください」

それに対し、生乳から水分、脂肪分などを除去して成分を調整したものを「成分調整牛乳」という。そのうち乳脂肪分を除去したものは、その除去割合により「低脂肪牛乳」「無脂肪牛乳」と表示される。脂肪が気になってこれらを選んでいる人も多いのではないだろうか。

「乳脂肪を除去するということは、若さや健康維持に必須の脂溶性ビタミンも少なくなってしまいます。乳脂肪には皮膚や粘膜の健康を保つビタミンA、抗酸化作用があって若返りビタミンと呼ばれるビタミンEが含まれるんですよ。できるだけ人の手を加えない生乳を選ぶことで、これらの栄養素がしっかり摂れます」(小山氏)

「いい牛乳」を生む健康な牛が多いのは鳥取県

国内の牛乳の9割以上はホルスタイン種という牛の品種から作られている。殺菌温度などの製法に違いはあっても、成分無調整のタイプなら栄養成分は同じだ。

しかし、その品質は、牛の健康状態によって左右される。何が牛乳の質を決めるのかといえば、ひとつに「体細胞数」という数値がある。牛乳の中にこれが少なければ少ないほど“良質の乳”とされる。

日本ポリフェノール学会理事長の板倉弘重医師(東京アスボクリニック名誉理事長)は、「牛乳中の細胞数の増加は、牛の体内の炎症や老化が原因と考えられる」と解説する。

「搾られた生乳に体細胞数が多くなるほど味が悪くなる。細菌や炎症性成分の混入も予想されます。品質検査をクリアしたとしても、人の体に良いとはいえません」

各都道府県では“牛の健康診断”(牛群検定)が毎月行われている。健康診断の実施率が高い地域ほど、牛の健康状態を重視する酪農家が多いとも読み取れる。

義務ではないため都道府県によって実施率にバラつきがあるが、例年全国1位は、鳥取県。鳥取県ではほぼすべての牛の健康状態がチェックされているのだ。実際に鳥取県は、体細胞数をはじめとした検査数値が、全国平均よりはるかに優れている。