過激化でYouTube停止処分、果ては逮捕
私人逮捕系は再生回数が伸びると分かったことで、次々と類似のYouTuberが台頭。その中で目立つためには、次々と過激なコンテンツを投稿し続ける必要があり、行動はさらに過激化していった。それが、今回の逮捕につながったというわけだ。
最近になり、私人逮捕系YouTuberは次々とアカウント停止処分となっている。「嫌がらせ、いじめ、脅迫を目的としたコンテンツを禁止としたYouTubeポリシーに対するたび重なる違反、または重大な違反」というのが理由だ。煉獄コロアキは逮捕直前に停止され、“撃退・報道系YouTuber”を名乗っていた「令和タケちゃん」なども停止処分となっている。
令和タケちゃんは、京都の木津川の河川敷を不法占拠し、ヤミ畑で作物などを育てていた外国人から土地を取り戻したり、旭川の女子中学生いじめ凍死事件で教頭の自宅に突撃するなど、やはり過激な行動で知られていた。
視聴者も正義感の下に堂々と鬱憤を晴らせる
コロナ禍ではSNS利用時間が増え、社会不安も増大した。ネットトラブルを研究する「シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所」の調査によると、2020年1~11月の“ネット炎上”は前年比で3.4倍にまで増加した。ストレスがたまり鬱屈した気持ちを晴らすために、他者に攻撃的になる人が増えたためだ。
私人逮捕系YouTuberが台頭してきたのは、同じく2020年ごろだ。コロナ禍のストレスを晴らすように、徐々に人気が高まってきたものだ。へずまりゅうが逮捕され、迷惑系YouTuberの行き詰まりが明らかになった頃から、入れ替わるように人気が上がっていった。
私人逮捕系でやり玉に挙げられるのは、普段から怒りの対象となり、嫌われている存在ばかり。つまり、悪を自分の代わりに成敗してくれるという構図になる。
人には、過激なものが見たい欲求がある。だれかが自分がやりたくてもできない行為をやってくれることで、代替行為として楽しむことができる。社会正義という建前があれば、自分自身にも言い訳ができる。実際は単に鬱憤を晴らしたい気持ちだとしても、「批判されるべき対象だから叩いてもいい」と考えて、エンタメとして受け入れてしまうのだ。