正義を謳いながら、本音は「有名になりたい」

私人逮捕系の投稿者たちは犯罪撲滅のための行為だと言うが、本当に正義感のためであれば、そのような行動を撮影し、SNSに投稿する必要はない。犯罪をなくすためなら、事前に通報するなど別のやり方もあるだろう。それでもあえて彼らが投稿するのは、やはり承認欲求を満たし、収入を得ることが目的なのではないか。

煉獄コロアキも、「転売ヤーを成敗」と謳いながら、動画に「美人転売ヤー逮捕」などと煽ったタイトルを付けたり、「お金が欲しい」「メディアに出たかった」といった発言もしている。

事実、今回の逮捕の後に、「広告収入を得て有名になりたかった」と供述している。「(男ばかりだと)逮捕される可能性がある」と考えて、自分たちの活動に協力する女性YouTuberを募集しており、リスクも自覚していたと見られる。

煉獄コロアキが投稿した動画は、X(旧ツイッター)で約3400万件のインプレッションを獲得している。Xでは、有料のXプレミアムに加入し、フォロワーが500人以上、過去3カ月以内の投稿に対するインプレッションが500万件以上の場合、広告利益の一部を得られるのだ(違法薬物など収益化できないジャンルを除く)。彼は、過去に「Twitterからの収入が5万円あったのに銀行口座を凍結された」と投稿している。

コインを重ねて積み上げている女性の手元
写真=iStock.com/KamiPhotos
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私人逮捕系は迷惑系YouTuberの進化系

SNSでは、目立つことはインプレッション増加につながり、承認欲求を満たすと同時に、収益増加にもつながる。しかし、YouTubeはすでに競争相手が多いレッドオーシャンであり、普通の動画を投稿しているだけでは叶えることができない。

そこで、行動を過激化させた結果生まれたのが、迷惑系YouTuberだ。発信するコンテンツがなく再生数が伸びないYouTuberたちが、“炎上”目当てで迷惑行為や犯罪スレスレの行為を行うようになったのだ。迷惑系で知られる「へずまりゅう」も、元々は一般的な動画を投稿していたが再生数が伸びず、徐々に迷惑系にシフトしていった。

しかし、2020年にへずまりゅうがスーパーで会計前の魚の切り身を食べたなどとして逮捕され、迷惑系動画を投稿するとYouTubeアカウントが停止処分を受けるようになった。そこで、進化系として現れたのが、私人逮捕系YouTuberだ。ただ迷惑行為をする迷惑系とは異なり、悪を罰するという社会正義を盾に、過激な行動も許される状況を作ったのだ。