岸田首相は「早く辞めてほしい」「総裁任期まで」

毎日新聞が9月に行った世論調査で、在任期間2年を迎える岸田文雄首相について、いつまで首相を続けてほしいか尋ねたところ、「早く辞めてほしい」が51%、「来年9月の自民党総裁選任期まで」が25%、「できるだけ長く」は12%だった。

同様の問いで8月に行われたJNNの調査では、それぞれ、23%、57%、14%だったが、いずれにしても、来年の自民党総裁選挙の岸田再選を支持する人は、回答なしを除いて計算すると、15%以下にとどまる。

また、7月には親戚である宮沢喜一氏の在任期間を超えたとか、来年2月には鈴木善幸氏を超えて、戦後トップ10入りするという記事も出ている。これまでの総理のなかでとくに評判がいいわけではないので、そろそろ辞めろといわんばかりである。

だが、全国47都道府県のトップである知事はどうだろうか。1947年に公選で選ばれるようになってから71年が経過しているが、総計で約340人が務め、だいたい10年間、つまり、2期ないし3期が平均的な在任期間だ。

日本の首相が短命になってしまった理由

東証第一部上場企業の社長は、平均7.1年(会社四季報をベースにした東京経済大学の柳瀬典由ゼミの学生たちの計算)だそうだ。

こうした数字と比較して、どうして首相だけが、そんな頻繁に交替してしまうのか理解に苦しむ。

その理由のひとつは、中選挙区制の時代に派閥が異常に強くなり、その思惑によって短期で派閥の領袖りょうしゅうが総理となる慣習が残っているためである。

それから、与党と野党の関係も影響していると言えるだろう。55年体制で自民党・社会党の二大政党が成立し、その後も、だいたい自民党が与党で左派的な野党が第二党という状態が続いているのだが、与野党の最大の対立は憲法改正の是非である。

そのため与野党の攻防戦は、自民党とその連立勢力が国会で3分の2を制するかどうかが焦点となる。立憲民主党は口では「政権交代」と言うが、自民党以外の政党は改憲を阻止することを目標にしていて、政権を取ることはそもそも狙っていない。