NHK「朝の連続ドラマ」を観なくなるのは認知症グレーゾーンのサイン

Fさん(74歳・女性)は、テレビドラマが大好きで、とくにNHKの朝の連続ドラマを若い頃から欠かさず観ていました。ところが、70歳を過ぎた頃から、朝ドラを観ている途中でチャンネルを変えるようになり、そのうちテレビは相撲と懐メロの歌番組しか観なくなりました。

Fさんのような変化は、認知症グレーゾーンの人によく見られる現象です。連続ドラマというのは、前回のストーリーを覚えているからこそ、次の展開を楽しめます。ところが、認知症グレーゾーンの人は前回のストーリーの記憶が薄れているので、ドラマの展開を追うのが難しくなります。

一方、相撲や懐メロの歌番組は、何も考えずにボーッと観ていられます。記憶に残す必要もないため、ストレスなく視聴できるのです。ただし、『水戸黄門』や『相棒』のような1話完結のドラマであれば、認知症グレーゾーンであっても楽しめます。

ご家族が不思議に思い、「なぜ観ないの?」と尋ねると「最近のドラマはつまらない」と答えるケースがよくあります。しかし、それはその場の言い逃れであり、実際はそれまでのストーリーの記憶がないので「意味がわからない」「つまらない」と感じている場合が少なくありません。言葉の背景にある本心を察する必要があります。

家電操作のもたつきは、リカバリーできるかがカギ

年をとると、若い頃は簡単にできた家電の操作にも、もたつくようになります。たとえば、全自動洗濯機。最近までは難なく使えていたのに、加齢とともに老眼が進んだり、手の細かい動きが鈍ってきたりすると、「あっ、押し間違えた」というミスが起こりやすくなります。

それでも、落ち着いていったん電源を切り、再度スタートボタンを押して操作し直すことができれば、多少もたついたとしても老化現象の範囲内です。一方、ボタンの押し間違いに気づかなかったり、気づいてもリカバリーできず、洗濯をあきらめてしまったりするようなら、認知症グレーゾーンが疑われます。

早くに奥さんに先立たれた一人暮らしのGさん(67歳・男性)は、定年まで公務員を勤め上げ、定年後も再雇用で65歳まで働き続けた、とても誠実な方でした。

そんなGさんが引退して2年後の、ある真夏の暑い日のことです。近所に住んでいる娘さんのところに、「エアコンが故障して動かない」とGさんから連絡が入ったのです。娘さんは父親が熱中症になっては大変だと思い、急いでかけつけました。しかし、Gさんの行動を見てびっくり。Gさんは、テレビのリモコンをエアコンに向け、必死で電源ボタンを何度も押していたのです。

このように、家電の簡単な操作ができなくなることで家族が異変を感じ、受診につながることはよくあります。