※本稿は、朝田隆『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』(アスコム)の一部を再編集したものです。
レジでお札しか出さなくなったら危険水域
買い物に行って、レジで「3750円です」と言われたとします。このとき、多少まごついたとしても、お財布から千円札3枚、百円玉7枚、十円玉5枚を出せているうちは通常の老化現象、問題ありません。
一方、認知症グレーゾーンの人は、注意力や集中力が低下しているため、お財布からお金を出している途中で「あれ? 今いくら払ったっけ?」「百円玉を何枚出せばいいのだろう」とわからなくなります。お金を正確に支払うには、想像以上に脳をフル稼働させる必要があるのです。
レジでお金の支払いに一度失敗すると、それをきっかけにお札しか出さなくなる場合が多く見られます。「めんどうくさい」という思いと「恥をかいた」というトラウマから、数百円の商品でも1万円札しか出さないと決めている人もいます。
最近はクレジットカードやスマートフォンなどで支払いができる店が増えており、手順を覚えればそちらのほうが簡単です。しかし、慣れないことをするのがめんどうで現金払いしかしないのも、認知症グレーゾーンの「あるある」です。
ポケットに小銭がどんどん増える人も要注意
なお、後ろに並んでいる人に気を遣い、小銭をあきらめて1万円札を出したのだとしたら、それは問題なし。むしろ、周囲の人に気遣いできることは、脳がしっかり働いている証拠です。
買い物から帰ってくるたび、お財布やポケットが小銭でパンパンに膨れている場合は要注意です。お財布やポケットから出した大量の小銭が、家のあちこちで見つかることもあります。
認知症グレーゾーンの人は、自分の異変を知られたくないという意識がまだ残っています。そのため、家族が「お母さん、この小銭は何?」と聞いても、「孫のお年玉にする」とか「小銭貯金」といった言い逃れをしがちなので、注意してみてください。