「5年間で75%下落」が起きる新興国リスク
ある50代後半の夫婦が現在保有している資産内容の分析を求めて来社しました。保有したきっかけは勤務先が提携していた金融機関の紹介とのこと。保有資産を分析すると、新興国株式に極端に偏った投資信託であることがわかりました。
この夫婦は年率4%程度の運用をゴールとしていたにもかかわらず、新興国の為替リスク、インフレリスクなどを過度にとっていたのです。
実際に新興国の為替リスクはどれほどのものか説明すると、2018年9月末に1トルコリラ=18.77円だったものが2023年9月末には1トルコリラ=5.45円まで下落しており、5年間で約75%程度下落しているのです。
もちろん新興国については経済成長の伸びしろが先進国と比較し、非常に大きいことは事実です。ただし、資産全てをそういったハイリスク・ハイリターンの資産で運用するのではなく、多様な資産を組み合わせたポートフォリオで、さまざまなマーケットの変動に耐えられる運用を心掛けるべきではないでしょうか。
流行はすぐに廃れ、期待するような成果は出ない
他にハイリスク・ハイリターンの運用商品については、テーマ型というカテゴリも注意が必要です。
テーマ型とは一つのカテゴリに絞り込んで運用する投資商品の事です。過去に省エネブームからエコという言葉がはやり、地球環境を考えた会社が良いということでエコファンドというものがはやりました。
また、ブラジルで2014年にワールドカップがあり、その2年後にはオリンピックがあるということでブラジル関連のファンドがはやりました。代替エネルギーとしてのシェールガスなどがはやる時代もありました。
どれもはやりに乗じて登場したものです。実はその成績は購入する時の期待を超える成果を出したことはほとんどありません。一般的にはやりというものは短期的で、すぐに次の流行が現れてしまうので過去のものは廃れていくことになります。
最近では5G、DX、AI、自動運転、ロボット関連などが乱立しています。今後はChatGPT投信なども登場するのではないでしょうか。このような投資は言葉が既にある時点でももう遅いということを念頭にNISAで購入する長期投資には不向きだと考えると良いでしょう。
いかがでしたでしょうか。上記のNG行為を頭に置いて運用を始めていただくと、新NISAのメリットを十分に活かしながら長期投資を行うことができると思います。ぜひ参考にしていただけますと幸いです。