バランス型投信で運用すれば70歳でも間に合う

例えば80歳で入居予定の老人ホームの頭金を作ろうと思い、65歳定年から退職金を活用して運用を行ったとしても十分に運用成果を享受できるのです。

新NISAでは非課税期間は無期限となっているため、15年後の運用益も非課税になります。株式型の投資信託で運用し、新NISAを始める年齢のボーダーラインのめどは「65歳」と考えても良いかと思います。株式と債券を半々で保有するようなバランス型投信で運用する場合は、7~8年程度保有するとマイナスの可能性が非常に少なくなることを考慮すると、「70歳」がボーダーラインのめどとも考えられるでしょう。

ノートパソコンを二人で開きながら見ているシニア夫婦
写真=iStock.com/kokouu
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旧NISAも新NISAも同様ですが、売却で出た利益は非課税になりますが、損失についてもないものとみなされるため、損益通算ができません。

NISAのメリットをフルに活用するにはリターンを出すことが必須だと言えます。しかし、短期での運用となると損失を出す可能性が高くなり、せっかくのNISAのメリットを活かすことができないのです。

私の著書を読んで相談に来た60代前半の女性で、こんな方がいました。

セカンドライフのために運用を始め、証券会社の担当者に相談をしながら運用を行っていたものの、アドバイスに従って売買を繰り返し、利益確定と損失確定を繰り返していたそうです。その結果、運用の成果が見込めないどころか、相場が大きく上下するたびに精神的に不安な状況に陥ってしまったとのことでした。

長期投資を念頭に置かず、目の前の利益や損失に過度に反応するような運用をする人はNISAの恩恵を享受しにくいと考えます。

「全額運用しよう」は半分正解で半分間違い

さらに始めるときにやってはいけないNG行動を2つ、ご紹介します。

① 金融資産の大部分を運用する

多額の金額を運用に回せば回すほど、運用効果は高くなると思っている人も多いと思います。

「今、預貯金に入れているお金はしばらく使わないだろうから全額運用してしまおう」

この考えは半分正解で、半分間違っていると言えます。

日々生活をしていく中で突然お金が必要になることがあります。予期していない出来事が起こることもあります。

もちろんその時、株や投資信託など、換金性の高い運用商品を売却することは可能です。しかし、もしその時、リーマンショックのような金融危機が訪れている局面だとしたらどうでしょう。

せっかく将来のために運用していた資金をわざわざ大きく目減りしているタイミングで売却することになってしまうのです。