薬とアルコールの「飲み合わせ」には要注意

ところでMEOSは、本来は薬などの「異物」を分解するための酵素です。飲酒によって、MEOSが大量に分泌されるようになると、薬が効きにくくなったり、逆に効きすぎたりするようになることがあります。

薬の説明書に「服用の際、アルコールは控えてください」と書いてあるのに気づいたことはあるでしょうか。お酒と薬を一緒に飲むと、酵素の取り合いになってしまい、薬が完全に分解されないまま血中に入ってしまうことになります。そのため、薬が効きすぎてしまうのです。

ちなみに、グレープフルーツにも同様の作用があります。グレープフルーツに含まれる成分がMEOSの酵素の働きを一部疎外してしまうのです。そのため特に、カルシウム拮抗薬(降圧剤)を飲んでいる人は、薬が効きすぎて血圧が過剰に下がることがあるので要注意です。

「酔っている症状」の犯人はアセトアルデヒド

Q お酒の強さは遺伝子で決まっていて、変えることはできない?

A お酒の強さは遺伝的に決まっています。遺伝子のタイプを変えることはできませんが、どのタイプかを調べれば、自分がお酒に強いか弱いかがわかり、潜在的な病気のリスクを知ることもできます。

お酒を飲んで顔が赤くなる、冷や汗をかく、動悸どうきがするなどはフラッシング反応と呼ばれ、アルコールの代謝の過程でできるアセトアルデヒドの毒性が原因です。メカニズムを説明すると、アセトアルデヒドの作用によって毛細血管が拡張され顔が赤くなります。また、アセトアルデヒドによって交感神経が刺激されるため脈拍が上がり、その結果として血圧が上がって冷や汗が出るなどの症状が引き起こされるのです。

フラッシング反応の有無は、アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の活性の強さによります。活性が強い人はフラッシング反応が起こりにくく、弱い人はフラッシング反応が起こります。

ただし、毛細血管への反応については個人差があり、低活性型や失活型であっても顔が赤くならない人もいます。「顔が赤くならないのでお酒に強い」と思っていたら実は失活型や低活性型だった、ということもあるので、注意が必要です。