日本人の4割は「お酒に弱い遺伝子」をもっている

さきほど述べたようにALDH2には3つの型があり、どの型かは遺伝子によって決まっています。

活性型(NN型)は、両親から分解能力の高い遺伝子を引き継いでいます。飲んでもアルコールをどんどん分解し、フラッシング反応もほとんど起こりません。

低活性型(ND型)は、分解能力が高いN型と分解能力が低いD型の遺伝子を引き継いでいます。飲めなくはありませんが、基本的に弱く、フラッシング反応も起こります。

両親からアルコールに弱い遺伝子だけを引き継いだのが失活型(DD型)で、ほとんどお酒を飲めません。奈良漬けを食べただけで赤くなる人もいますが、それもこのタイプです。

人種でいえば、日本人などの黄色人種は50%が活性型、40%が低活性型、10%が失活型といわれています。一方、黒人や白人はほとんどが活性型です。

「低活性型」の人の飲みすぎは危険

活性型の人はお酒に強い分、多量飲酒が常習化しやすく、アルコール依存症にもなりやすいので注意が必要です。

失活型の人は、そもそもアルコールを分解できない体質なので、短時間に大量飲酒をすると急性アルコール中毒になる可能性があります。無理に飲む必要はありませんし、すすめられてもきっぱり断りましょう。

注意してほしいのが低活性型の人です。さきほど述べたように、飲み続けるとMEOS経路が活性化し、一時的にお酒に強くなりますが、もともとはアルコール耐性が低いので活性型に比べてお酒が残りやすく、アセトアルデヒドの毒性に長くさらされることになってしまいます。その結果、強いフラッシング反応があるだけでなく、活性型の人よりも咽頭がんや食道がんなどの罹患リスクも高まってしまうのです。