韓国の5大財閥、フォルクスワーゲンも

資材調達、生産、政策リスク、需要減少などアップル、ホンハイにとって中国における事業運営の厳しさは連鎖的に高まった。同様の考えに基づき、韓国ではサムスン電子をはじめとするサムスングループ、現代自動車グループ、SKグループ、LGグループ、ロッテグループの“5大財閥”が中国の資産売却などを進めた。

その多くがインドなどに拠点を移した。2023年、インドは中国を上回り世界最大の人口大国になる。人口増大によってインドは安価かつ豊富に労働力を供給できる。人口増加は個人消費や設備投資の増加にもつながる。そうした見方から、欧州では対中投資を強化してきたフォルクスワーゲンがインド企業との関係強化に取り組んだ。

ヒト・モノ・カネがインドに集まっている

中国経済の回復が遅れる一方、直接投資の増加を支えに、インド経済の成長期待は高まった。経済指標、金融市場の変化からそれは明確だ。

年初から10月23日までの間、インドの株価インデックス(S&P・BSE・センセックス指数)は約6%上昇した。一方、中国の上海総合指数は約4%のダウン、IT先端企業が多く上場する深圳総合指数は約10%下落した(株価騰落率は現地通貨ベース)。インドではモディ政権が製造業の育成を目指し直接投資の誘致策を強化した。それは株価上昇を支える主たる要因の一つだ。

景況感の強弱感の差も広がった。50を境に景気の強弱を示す購買担当者景況感指数(PMI)の総合指数をみると、9月、インドは61と高い水準を維持した。インドの景気は堅調だ。また、中国同様、インドは安価なロシア産原油を輸入し、精製して輸出した。それも景気を支えた。