会社で結果を出せても、起業で成功するわけではない

これから会社員は、「同じ会社で引き続き会社員」「会社員をしながら副業および兼業」「転職」「独立起業」「フリーランス」など様々なオプションから自分のキャリアを選び取る時代を生きていく。

その過程で信頼できる仲間や共同体を見つけることになるのだが、そこには当然、仕事のやり取り(仕事をお願いする、お願いされる)が介在する。たとえば多くの会社員が、どこかで一度は経験するであろうキャリアの棚卸し作業、これは常に、仕事をお願いされることを想定した取り組みである。

しかしながら、同じ棚卸しでも、自分の判断や裁量だけで、誰かにお願いできる仕事の棚卸しをしたことがある会社員はどれだけいるだろうか。どの人間関係でもそうであろうが、キャリアを共に生きていくという関係も、勿論ギブアンドテイクが基本である。したがって、この辺りをうまくやれるか否かで、会社員から会社員(転職)以外のキャリア・チェンジについて、その成否が別れるのだが、この辺りについて勘違いしてしまう会社員もいる。

大企業で相応の役職を務めた会社員の中には、「自分が独立したら、これまでの取引関係を大いに利用して、みんなに仕事を回してやる」と、俺に付いて来いと言わんばかりに大きな話をして、その場を大いに盛り上げてくれる人物もいる。

ただし、そのような人物が独立起業してうまく行くかというと、必ずしもそうではない。いつの間にか、元気のよかったその人物の名前すら聞かなくなることもよくある。

ストレスを抱えた若いアジアのビジネスマン
写真=iStock.com/tuaindeed
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「仕事は仕事」とわきまえるべき

そこで、先にも述べたこの辺りを上手くやってのける人物の考え方を、筆者なりに慮ってみた。

(1)あくまで「仕事」とわきまえている。
(2)大言壮語には乗らない付き合わない。
(3)自分にできないことは引き受けない。
(4)常に仕事は回すものだと考えている。
(5)常に人物の性質を見極めようとする。
(6)親切だが押し付け押し売りはしない。
(7)人脈を自ら積極的に作ろうとしない。
(8)目先の利益より信用取引を優先する。

まず「(1)あくまで『仕事』とわきまえている。」であるが、彼らは会社員が誰かに仕事を頼むように、もしくは発注するようにあなたに仕事を依頼する。そこに変なうやうやしさや慇懃無礼な態度は微塵もない。勿論、仕事を出してやっているなどという、尊大な態度をとることもない。むしろ仕事を受けてくれてありがとう、という態度をとる。また多くの場合、案件の仕様なども、事前に押さえてから話を持ってきてくれるので、受ける側も安心して話を聞くことができるし、顧客に基本的な取引内容を確認しなければならないような二度手間もない。

次に「(2)大言壮語には乗らない付き合わない。」であるが、彼らは雲をつかむような話を嫌う。そんな話に振り舞わされる暇があったら、ほかの仕事をしたほうが金になることを知っているからだ。まさにタイムイズマネーである。一方でその辺りが分からない人物は、壮大な儲け話で人を振り回すだけ振り回し、遂には本人が疲弊し、人も離れていく結果となる。