仕事はやるものではなく「回すもの」
次に「(3)自分にできないことは引き受けない。」であるが、彼らはとにかく顧客や取引先に迷惑をかけることを嫌う。したがって、自分にできないことを引き受けようとはしないし、どんなに実入りがよさそうでもきっぱりと断る。これを、たとえば独立起業当初から徹底していた。
ただし、この徹底は難しい。なぜなら起業当初はとにかく売上をたてるために、仕事が欲しいからだ。その「欲しい」のために、何でもかんでも仕事を引き受け、結果としてうまくいかず、顧客や取引先の信用を失っていく。
ちなみに、一歩踏み込んでその辺りが分かる人物は、顧客や取引先の要望にかなった同業者を紹介してくれる。結果として、顧客や取引先の信頼は高まり、更には仕事を紹介した同業者からも、新たな仕事が舞い込むようになる。
次に「(4)常に仕事は回すものだと考えている。」であるが、3とも関連して自分ですべての仕事をこなせるとは、はじめから考えていない。だが、副業であれ兼業であれ、もしくは独立起業であれ、この発想にもとづいて仕事を受ける人物は実に少ない。
これは会社員以外の仕事を引き受けた途端に、自分のさばき方次第で実入りが変わるからかもしれない。だが、仮に自分だけで完結できてしまう仕事であっても、誰かに振るメリットを感じた場合には、自分の実入りを削っても仕事を回すと、それは後々自分に返ってくるのだ。
長期的な視点が信頼につながる
次に「(5)常に人物の性質を見極めようとする。」であるが、3と4でも解説したように、彼らは常に自分にできないことができる人、そして仕事を回せる相手を探している。しかしながら、顧客や取引先に失礼があってはならない、(少なくとも平均点以上に)満足してもらいたいとも考えている。
次に「(6)親切だが押し付け押し売りはしない。」であるが、彼らは常に顧客や取引先、仲間の長期的な利益を考えている。だから顧客にも「それは御社のためになりますか、本当に必要ですか」、取引先にも「それはお客様のためになりますか」と話して、ビジネスパートナーの更なる熟考を促す。
彼らは自身のその姿勢が、顧客や取引先の「信頼」につながることを知っている。ただし、自らの見立てで「これはできる」「この人物であればできる」と判断すれば、(半ば強引に)仕事の依頼を持ちかけることはある。