「次回の対策は?」は効果的ではない

たとえば、部下がお客様を怒らせてしまったら。「なんでそんなことしたんだ!」と怒鳴ったら、ただでさえ失敗に恐怖を感じているのに、部下はますますやる気をなくします。では、「次回の対策は?」と再発防止に目を向けるのはどうでしょうか。

それも必要ではありますが、前述した通り、人間には、失敗に対して生命の危機を感じるようなDNAが組み込まれているので、失敗したときはとにかく目線が下がっています。ですから、失敗した人には、まずは目線を上げてもらう必要があります。目線を上げるとは、あるべき姿を思い出すことです。そのための質問が、「本当はどうしたかった?」です。

そもそも失敗したということは、本来手にしたかった未来があるということです。たとえば、子供が友達と喧嘩したとしましょう。話を聞いた上で、こう質問します。

【親】「本当はどうしたかったの?」
【子供】「本当は仲良くしたかった」
【親】「そう。じゃ、一緒にあやまりに行こうか」

下を向いていた子も、ここで初めて顔を上げることになるでしょう。目線が上がるとはこういうことです。やる気とは、文字通り「やろうとする気持ち」です。ならば、本来やろうとしたことを思い出すことが先決です。

失敗したとき、見通しを暗くしているのは失敗した本人です。自分で自分を苦しめています。なかなか一人でやる気を取り戻すのは難しいです。そんなとき、本来手にしたかった原風景を思い出させてくれる人がいたら、どれだけ心強いか。失敗しても心のコンディションが整い、活動するエネルギーも湧いてきます。やる気を巧みに引き出す質問をするのも、一流のスゴ技です。

一流は、「本当はどうしたかった?」と質問する
⇒あるべき姿を想起させることでやる気を取り戻す

「なんで?」と詰めることは否定と同じ

【相手を叱るとき】
三流は、相手を否定し、
二流は、否定してから質問し、
一流は、どんな質問をする?

私が初めて部下を持ったとき、部下の叱り方で、上司に呆れられたことがありました。

ある本に、「部下は叱ってはいけない」と書いてあったので、私はその教えを守り、叱らずに「なんで?」「なんで?」と質問をしていました。時には、「だからなんでそうなるの?」と激しく質問したこともあります。

上司から言われました。「おまえ、それ叱っているのと一緒だぞ」と。「たしかにそうだ」と思いました。部下からしたら、「なんで?」「なんで?」と詰め寄られれば、「なんでそんなこともできないの」と否定されているのと一緒です。それから私は、「心理的な安全性」について積極的に学ぶようになりました。「叱る」とは、相手の非をとがめて厳しく注意することです。

これは相手にとっては非常に避けたいこと。攻撃されると感じるからです。

指をさして部下を叱る人
写真=iStock.com/78image
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