6時間以下の睡眠時間の人は28%糖尿病リスク上昇

血管が収縮して、狭くなった血管を血液が流れるわけですから、流れを良くしようと血圧を押し上げます。これが慢性的な高血圧の原因です。血圧が高くなると、血管がボロボロになり、血のかたまりである血栓ができやすくなります。その血栓が心臓でつまれば心筋梗塞に、脳にたどり着くと脳梗塞を引き起こします。血圧が高くても自覚症状はありません。高血圧が「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」と呼ばれるゆえんです。

さらには、糖尿病のリスクも引き上げます。6時間以下の睡眠時間の人は、6~8時間の人と比べて、28%も糖尿病リスクがあることが世界中の論文をまとめた研究により明らかになっています。

睡眠の変調は、食事や運動などほかの生活習慣を乱し、自律神経のバランスも崩します。均衡が崩れ、さまざまなホルモンの分泌をコントロールする迷走神経が機能しなくなることで、食欲やエネルギーバランスに作用する「レプチン」や「グレリン」などに影響をおよぼします。

食欲をおさえるレプチンの分泌が減り、食欲を高めるグレリンの分泌だけが増えれば、当然、肥満も促進します。

さらに、睡眠不足と肥満が重なれば、血糖値の上昇をおさえるホルモン「インスリン」の効き目が悪くなる。これが糖尿病を発症させる原因の一つです。

睡眠をおろそかにすると、迷走神経の乱れを引き起こす――。その結果、自律神経のバランスが保たれなくなり、知らず知らずのうちに重篤じゅうとくな病気を引き起こす「ダメージ」を蓄積しています。

脳の神経回路のイメージ
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