柔軟で現実を直視する萩生田政調会長のスタンス
念のために、自民党内の意見集約にあたる萩生田氏自身のこの問題への考え方も見ておこう。萩生田氏は以前、インタビューで次のように答えていた(『文藝春秋』平成26年[2014年]6月号)。
「天皇は男系男子が基本だと思いますが、現実問題として、それでは将来的にどんどん道が狭まることは確実です。……宮家の跡取りは、ほとんど女子ですよね。その方たちが結婚して家を出ていかれたら、間違いなく宮家はなくなります。そう考えれば、婿をとる女性宮家もあってもいいように思います。いまは側室を認めろといっても無理でしょうから、そのほうが現実的です」
萩生田氏はよく知られているように安倍晋三元首相の側近中の側近といわれた政治家だが、この発言を見る限り、少なくとも皇位継承問題については比較的柔軟で現実を直視する姿勢がうかがえる。
「愛子天皇」の可能性
これまで述べてきたことを考え合わせると、このたびの皇室典範改正に際してさしあたり実際の選択肢として残りそうなのは、(③「女系天皇」は岸田氏が名指しで除外していたので)①「女性天皇」と②「女性宮家」だろうか。
もちろん、男系男子にこだわる政治家向けに、効果的な“目くらまし”として⑤旧宮家プランを、しばらく検討対象とすることはありえるだろう。
しかし、それが実現する未来はなかなかリアルに思い浮かべられない。
一方で、女性天皇を認める制度化が図られる場合、現在の直系優先の原則(皇室典範第2条)を踏まえると、天皇・皇后両陛下の「長子」でいらっしゃる敬宮殿下こそ次代の天皇という可能性が浮かび上がる。
国会は速やかに皇位継承問題の解決に踏み出すべきだ。