「火中の栗を拾いたくない」逃げ腰な態度
このアンケートが実施されて以降、衆参両院とも選挙が行われていて、議員構成は多少変わっている。しかし、回答状況の大勢がまったく様変わりしているとは、考えにくい。
そこで改めて中身を見ると、どの質問に対しても最大の比率を占めているのは「無回答・回答拒否」だ(58〜65%)。テーマの重要性を考えると、あまりにも無責任というほかない。この無責任さの背景には、単なる無知・無関心のほかに、「火中の栗を拾いたくない」という逃げ腰な態度が透けて見える。
ルールを見直せば皇位継承資格者が増える
しかし、先の不合理なルールを見直せば、皇位継承資格を持つ皇族の数は現状の3人から8人に大幅に増える(秋篠宮殿下より年齢が若い資格者も1人から6人ヘ)。さらに結婚相手への「必ず男子を生まなければならない」という重圧が緩和されるので、結婚のハードルもその分だけ下がることになる。
このルールの見直しが問題解決に不可欠であることは、政府もおそらく理解できているはずだ。
一夫一婦制で少子化が進む状況下に、もともと側室制度を前提とした皇位継承資格の「男系男子」限定という、明治以来の旧時代的なミスマッチのルールが持続不可能なことは、明らかだろう(世界中でも一夫多妻制の国を除いてほとんど類例がない!)。
国会でも、先のアンケート結果を見ると、“男系男子”に確信的にこだわっている政治家の数は、意外と少ない。無回答・回答拒否を除くと、女性天皇・女性宮家・女系天皇に賛成の国会議員に対して、わずか3分の1程度にすぎない。
にもかかわらず、問題解決がいたずらに先延ばしされ続けてきたのはなぜか。これまでのルールに固執する政治家たちは、必ずしも数は多くないにしても、その見直しに対して頑固猛烈に反対することが予想されるからだ。
そのため、波風を立てたくない多くの政治家は及び腰になり、政府も慎重に構えざるをえなかった、というのが実情だろう。
“宙ぶらりん”が続く女性皇族方
しかし、いつまでも先延ばしはできない。
その決着がつかない限り、適齢期の女性皇族方にとって将来が見えない“宙ぶらりん”の状態がいつまでも続く。
さらに今のルールの下で結婚されれば、ただちに国民の仲間入りをされ、いったん国民の仲間入りをされれば、もはや皇室に戻ることはできなくなる。失礼ながらもし離婚されたとしても、法律上、国民のままだ。
もちろん、制度上の手当ての遅れを理由に、ご結婚を遅らせていただくわけにはいかない。
もはやこれ以上、国会の無為怠慢が許されないところまで来ている。
この現実に、岸田文雄首相もようやく焦りを感じたようだ。今年2月の自民党大会で次のように呼びかけていた。
「日本国民の統合の象徴である皇室における安定的な皇位継承を確保するための方策への対応も先送りの許されない課題であり、国会における検討を進めてまいります」