人一倍傷つきやすくて繊細な人だった

今回、本を書くにあたって改めて、子どもを作らないと言っていた理由を竜ちゃんの親友に尋ねたところ、こんな答えが返ってきました。

上島光『竜ちゃんのばかやろう』(KADOKAWA)
上島光『竜ちゃんのばかやろう』(KADOKAWA)

「竜ちゃんは不安症だったのかもしれない。『俺、大丈夫かな。面白いのかな? これから仕事はあるのかな?』と、しょっちゅう疑問を投げかけていたね。根本は真面目なので、ずっと不安を抱えていて、それで子どもを欲しがらなかったんだと思う。竜ちゃんは飲んだら将来への不安を語り、最後はいつも泣いていたから」

確かに、竜ちゃんは私の前でも、不安を語っては泣いていました。

人一倍傷つきやすく、繊細な人でしたので、私は日頃話す言葉にも気を付けて、ネガティブな言葉は口にしないようにしていましたが、仕事で縁起の悪い言葉を投げかけられたことも多々あったようで、酷く疲れたように帰宅した顔を思い出すと胸が締め付けられます。

竜ちゃんが四六時中、抱えていた漠然とした不安が、「子どもを作らない」という発言に繫がっていったのかもしれません。

おりると思った生命保険が…把握していなかった新規契約

また、相続の問題だけでなく、専門知識が足りずに苦心したのは、「生命保険」も同じでした。保険に入る際、保険会社の人から説明を受けて署名はしたものの、約款を読むどころか、どんな内容の保険に入っているのか、きちんと把握していませんでした。

もちろんそれは、私のケアレスミスでもあります。

生命保険がおりるはず……と思って連絡したところ、これまで加入していた保険を1年半前にいったん解約し、同時に新規で同様の契約をしていたことを説明されました。

保険の契約条項などをまとめた約款には、加入してから2年間は、竜ちゃんの亡くなり方の場合には保険金を支払わないという免責条項が記載されていました。

「そんなバカな……」

その事実を把握していなかったため、愕然としてしまったのです。

私は生命保険会社の人が言うとおりに署名はしましたが、保険を解約して新たに契約した認識はなく、10年以上前に加入してから、ずっと継続していると思っていたからです。

保険会社の人と話し合いを続ける中で、免責期間でも、鬱病などの精神障害だったと認められる場合は、保険金が支払われるという説明を受けました。