パートナーが突然亡くなった後、遺族はなにを思うのか。2022年5月に亡くなったお笑い芸人・上島竜兵さんの妻・光さんは「夫は頑なに子どもを持ちたがらなかったが、私はその理由を知らない。夫婦の重要な課題は、互いに本音をぶつけあって理解しておくべきだった」という――。

※本稿は、上島光『竜ちゃんのばかやろう』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

菊の花を手に持つ女性
写真=iStock.com/Xiuxia Huang
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夫婦揃って手続全般が苦手だった

結婚して28年間、我が家は、ふたりとも、手続き関係は苦手でした。

仕方ないので、どちらかと言えば、まだましな私の方が、手続き全般を一手に引き受けていました。

竜ちゃんがやることといえば、例えば書類関係なら、ほぼ、本人が書かなくてはならない署名のところだけでした。でも、飲み歩いてまともに帰らないことが日常的に続いていたので、署名をもらうのも簡単ではありません。

経験を積むうちに、そんなときは、数日前から署名をして欲しいと予告しておくことにしたのです。

起き抜けに書いてもらうのですが、「朝からごめんねー、すぐ終わるからね」とご機嫌を損ねないように気を遣っていました。

ご機嫌を損ねたら仕事にも差し障るので、「はいよー」と機嫌よくサインがもらえたときには、心底ホッとしたものです。

竜ちゃんが旅立ったあとも、煩雑な手続きが次から次へと襲ってきました。

それは、体力的にも精神的にも追い詰められた私にとって、逃げ出したいほどの大きな負担となりました。