「どれくらい働きたいのか、休みたいか」を自分で調整できる

まず①ですが、美容師の「休みを取れない」という悩みを解消させるため、ディアーズでは「週休3日制」を採用しています。

なぜ週休3日に落ち着いたのかというと、例えば主婦の場合、週休2日だと子供に全ての時間を取られてしまうからです。

一方、週休3日であれば、土日に子供に時間を割いても、残り1日は自分の時間を持つことができます。

そうすることで、肉体的にも精神的にも余裕が生まれます。

ディアーズでは「フレックス制」を採用しているので、働く時間は自由。

また次回予約を採用しているので、自分が休みたい日にちに合わせて調整すれば、1週間の旅行などの長期休暇が可能です。

お客様の「次回予約の日」を、自分が休みたい日にちに合わせて調整すればいいので、休暇の日程を、基本的に自分で決めることができます。

フレックス制なので、夜に飲み会が入っている日には、15時に仕事を終えて、翌日は昼の12時に出勤するといったことも可能です。

一方、「もっと働きたい」と考えている方は、そういう働き方を選択することもできます。

給料は一定の売上までいけば、それ以降は歩合制を採用しています。

つまり、「どれくらい働きたいのか」「どれくらい休みたいのか」を、自分で調整できるシステムになっているのです。

「週休3日にすると、その分、美容師1人あたりの生産性が下がってしまうのではないでしょうか?」

ひょっとしたら、そのように思われるかもしれませんね。

ですが、一般的なサロンの美容師1人あたりの1カ月の平均的な売上が50万~60万円なのに対し、ディアーズでは、どの美容師も月80万~100万円をコンスタントに売り上げます。

なぜ週休3日でも、ディアーズの美容師は高い生産性を叩き出すことができるのでしょうか? その秘訣ひけつについては、これから本書にて明らかにしていきます。

客と話しながら髪を切る美容師
写真=iStock.com/yamasan
※写真はイメージです

仲良くなるから、ストレスが生まれる

最後に③の「人間関係が気に入らない」について考えてみましょう。

厚生労働省の2016年の調査によると、職場のストレスの上位3つは次のとおりになるそうです。

①仕事の質・量(53.8%)
②仕事の失敗、責任の発生等(38.5%)
③対人関係(セクハラ・パワハラを含む)(30.5%)

この調査から分かるのは、従業員のストレスは仕事の内容だけでなく、職場の人間関係にも大きく左右されるということです。

仕事の内容だけでなく、人間関係も改善しないと、職場におけるストレスを減らすことはできません。

そして、仕事のストレスはもちろんのこと、人間関係のストレスもやり方次第で改善できるはずだというのが、僕の基本的な考え方です。

そもそも人間関係のストレスというのは、どこから生まれるのでしょうか?

それは一言で言うと、仲良くなることから生まれます。

仲良くなるから、ケンカが生まれます。

距離が近くなるからこそ、そこに摩擦が生まれるのです。

普通のサロンでは、朝礼やミーティングなどを行い、従業員の結束を固めるのが一般的です。

一方、ディアーズの現場では、朝礼やミーティングは一切行いません。

なぜなら、従業員がそれぞれ自分の仕事に徹してさえくれれば、あえて結束をする必要はないからです。

もちろん、仲良くなること自体を否定はしませんが、ケンカさえしなければ、従業員同士が仲良くなる必要はないと僕は考えています。

人間関係においては、「大事だから仲良くなりたい」ではなく、「大事だからこそ、あえて距離を詰めない」という考え方も大切ではないかと思うのです。

ディアーズ直営店の現場社員は全て女性ですが、女性同士というのは、いったん関係がこじれると、「絶対に許さない」というゾーンに入りがちです。

男性の場合は話し合いによって解決することも多いのですが、女性の場合は感情が先走ってしまうケースが多く、意見や主義主張の擦り合わせが男性以上に難しいと感じています。

そのため、人間関係がこじれないように、僕は「現場の人間関係が近くなりすぎないための工夫」=「適切な距離を保つための工夫」を心がけています。