マスコミとテレビ業界は「共犯者」である
1988年に北氏が告発したとき、マスコミが今のように騒いでいたら、また、遅くとも1999年に、週刊文春に追随して各メディアがキャンペーンを張っていたら、また、テレビ業界などが真相究明に動き、自粛措置をとっていたら、それ以後の性被害は未然に防げたし、犠牲者の数も減っていた。この意味で、主犯はジャニー氏だが、マスコミとテレビ業界も立派な共犯だ。
性被害、セクハラ、パワハラは、主犯だけではなく、共犯、つまり、もみ消そうする組織、見て見ぬふりをする周囲の人間がいないと成り立たない。企業や大学などの組織は、しばしば問題が世間に知られないようもみ消しにかかる。また、これらの組織にいる人間も、問題を知りながらも、組織に異議を唱えることはせず、我がことではないとして、傍観を決め込む。
レイプが不同意性交罪となって適用しやすくなっても、パワハラ防止法で防止措置が企業に義務づけられても、セクハラ・マタハラを防止する関連法が施行されても、組織がこれらの人権侵害行為が表ざたにならないよう動き、内部の人間も見て見ぬふりをすれば、本人が勇気を奮い起して告発しても、犠牲者がさらに深い傷を負うだけに終わる。この現状をしっかり認識して、再発防止のため、さらなる法律強化へと向かわなければならない。
ジャニーズ記者会見が気持ち悪い理由
マスコミの攻撃の矢面に立たされた藤島ジュリー景子、東山紀之、井ノ原快彦各氏は、ジャニー氏の性被害とどう関係しているのかわからず、もみ消し工作に加担していたのか、あるいは傍観していたのか定かでない。
だが、一方のマスコミやテレビ業界は、あきらかに、もみ消す側、または傍観する側に立っていた。彼らがすべきことをしなかったこと、つまり、テレビ業界がジャニーズ氏との対決も辞さずに自浄作用を働かせようとしなかったこと、マスコミが見て見ぬふりをして報道しなかったこと、それが被害を継続させ、犠牲者を増やした。
そのマスコミとテレビ局のリポーターが、藤島、東山、井ノ原各氏に声を荒らげて、居丈高に、「質問」している。傍目から見ても、非常に気持ちが悪い。彼ら関係者に質問するマスコミとその模様を放送するテレビ業界のほうが、すべきことをしなかったという点で、それによって性被害を拡大させた点で、罪が重いのではないか。