手術で治せる可能性がある段階で現れる代表的症状
黄疸や背部痛から早期段階の膵臓がんを見つけられることもある症状についても述べておきましょう。
膵臓がんの早期はほとんど無症状であり、そのために発見が遅れてしまうケースが少なくありません。実際、症状が出たときには、すでに手術ができないほど進行していたということも少なくありません。腹痛や背部痛が続いて、「これはさすがにおかしい」と思って医療機関を受診したら、進行した膵臓がんが見つかったというのは典型的なパターンのひとつです。
ただ、早期とまではいかなくても、手術で治せそうな段階で症状が現われる場合もあります。
その場合の代表的な症状は、黄疸、腹痛、背部痛です。また、背中の痛みが腰痛として感じられる場合もあります。
腹痛や腰痛は日常的に起こりやすい症状でもあり、「腹が痛い」「腰が痛い」からと言ってそこから膵臓がんを疑うのは難しいかもしれませんが、少なくとも黄疸と背部痛は、日常的ではない症状だと思います。
「黄色い白目」「こげ茶の尿」「灰色の便」に要注意
黄疸は、膵臓の中でも膵頭部にがんができた場合に出てくる症状です。膵頭部の中を通過する胆管が膵臓がんによって狭くなり、胆汁の流れが悪くなって、黄色い胆汁の成分であるビリルビンが血液中にあふれ出すため、体中が黄色くなるのです。とくに、眼球の白目の部分を見ると、黄色くなっているのでよく分かります。それと、尿の色が濃くなってこげ茶色になりますし、逆に便の色は薄くなって、場合によっては灰色になります。また、胆汁の成分の影響で、体中がかゆくなって夜も眠れなくなる人もいます。
胆管を巻き込んで黄疸が出るような膵臓がんは、もちろん早期がんではありません。しかし、胆管の近くにできた膵臓がんであれば、比較的早い時期に胆管を巻き込むため、まだ何とか手術ができそうな段階で見つかることがしばしばあります。
一方、膵体部や膵尾部にがんができたときには黄疸症状が出ません。そのため、膵体尾部にできたがんは、膵頭部にできたがんと比較して、より進行した状態で発見されるケースが多い傾向があります。